東京・北の丸公園にある科学技術館にて、特別展「GUNDAM NEXT FUTURE SCIENCE展 ~未来の豊かな暮らしのために~」が10月3日より開催されている。TVアニメ『機動戦士ガンダム』シリーズの世界観と、現実の科学技術が融合したユニークな展示イベントで、未来の“宇宙世紀”を一足早く体験することができる。会期は10月3日(木)から10月22日(火)まで。
開催前日の10月2日には、オープニングセレモニーと内覧会が開催された。挨拶に立った同館の野依良治館長は、「ガンダムシリーズは、単なるエンタメに留まらず、未来の科学技術や宇宙開発の姿を提供してきた。そしてそれは、いよいよ夢ではなく、現実になりつつある」と指摘。
「この特別展では、最新の科学技術や宇宙工学がアニメの世界と共鳴し、我々の生活にどのような影響を与えるか、体験してもらうことができる。これからは、宇宙から青い地球を観察して、人類全体の未来を考えるような、新しい思想が求められている。ぜひ若い世代に展示を堪能してもらいたい」と述べた。
目の前で見ることができる動く実物大のガンダムの手
同展のベースにあるのは、バンダイナムコグループが進めてきた「ガンダムオープンイノベーション」(GOI)での取り組みだ。2021年にパートナーの公募が始まり、これまでに15チームを採択。この展示では、GOI関連のプロジェクトを中心に、小学校の高学年でも理解できるよう、最新技術が優しく解説されている。
その一方で、展示内容はガチだ。横浜の“動くガンダム”で使われたハンド(手)が置かれていて、文字通り目の前でじゃんけんの動きが見られるなど、大人でも十分楽しむことができるだろう。なお、ハンドの制御を担当しているアスラテックの吉崎航氏によると、このイベントのために、プログラムは新たに作り直したそうだ。
この特別展は、1階特設会場での展示と、2階ワークショップ会場での特別体験プログラムで構成される。
展示会場の方は、以下の3つのコーナーを用意。ガンダムで描かれた宇宙での生活を実現するための技術や、モビルスーツのような人型ロボットを社会実装するための取り組みなどが紹介されている。
- Space Age of Technology ~宇宙時代へとつながるテクノロジー~
- The Possibility of MS (モビルスーツ) ~汎用人型ロボットの可能性~
- Innovation of Future Lifestyle ~未来のライフスタイル~
ビーム・サーベルは宇宙農業に活用できるか?
個人的に興味深かったのは、ガンダムの武器であるビーム・サーベルを、宇宙での農業に結びつけた東北大学の研究だ。作中の設定では、ビーム・サーベルは「ミノフスキー粒子」で作られたことになっているが、これは架空の粒子。しかしこの研究では、ミノフスキー粒子をプラズマとして考えたという。
そして、人間が触っても大丈夫なほどの低温のプラズマを活用し、空気中から「五酸化二窒素」(N2O5)という物質を合成する装置を開発した。N2O5は、窒素肥料として利用できる。宇宙で農作物を育てる場合、肥料を地上から運搬するのはコスト的に現実的ではない。この技術を使えば、運ぶ量を減らせる可能性がある。
またワークショップ会場の方では、期間中の毎週末、GOI関係者による講演や対談などが行われる予定。展示会場のパネルで説明されている内容について、より深く知りたいときなどは、ぜひ利用してみると良いだろう。日程や内容については、公式サイトの方をチェックして欲しい。
実際に操縦や搭乗もできる展示も!
なお展示会場では、前述のガンダムハンドなど、ロボットの操作体験や搭乗体験も実施される。これについては、体験できる人数に限りがあり、毎日会場で行われる抽選に参加し、当選する必要がある。体験内容や抽選時間などは公式サイトに記載があるので、そちらを確認して欲しい。
開催概要
・会期:2024年10月3日~22日(9日、16日は休館日)
・会場:科学技術館1階展示・イベントホール/2階C室イベントホール他館内各所
・開館時間:9:30~16:50(入館は16:00まで)
・入場料:科学技術館の入館料(大人950円、中高生600円、4歳以上の子供500円)のみで入場可能