人事クラウドを提供するWorkdayでは、人事トップをCHRO(Chief Human Resource Officer)ではなく、CPO(Chief People Officer)と呼んでいる。従業員をリソースではなく「人」として扱うという意味からだ。WorkdayのCPOとして11年間、人事のトレンドを見てきたAshley Goldsmith氏に、最新のトレンド、Workday自身のWorkdayの使い方などについて聞いた。

  • Workday CPO Ashley Goldsmith氏

10年以上にわたってWorkdayでCPOを務めきた中で、これまでの変遷をどのように見ていますか?

Goldsmith氏: 当社は、すべての企業に当てはまるステップを経て、ここまできました。

この11年間、Workdayは比較的小規模な企業から大企業に成長しました。当初は組織を組み立て、技術を開発し、従業員にサービスを提供する上で必要な人材の獲得が重要でした。

現在は組織が大きくなり、業績の向上に加えて、従業員の能力を最大限に引き出すこと、リーダーの育成が重要になっています。リーダーシップ開発とマネージャー研修を通じて、マネージャーおよびその部下のキャリア育成も重視しています。事業継続性を確保するための後継者育成計画も進めています。

Workdayでは自分たちの事業戦略を進めるにあたって、タレント戦略が不可欠だと考えています。そこで現在、スキルベースの組織への移行を進めています。単に従業員の職位だけでなく、その人が持つスキルを理解し、組織の業務とマッチングすることを意味します。このようなアプローチを取ることで、より広い人材のプールにアクセスできるようになります。また、従業員の自己開発を促すことができ、自分が興味がある仕事に移動しやすいというメリットもあります。

CPOとしてWorkdayをどのように活用していますか?

Goldsmith氏: もちろん、Workdayを常に使用しています。私だけでなく、同僚や他の幹部もWorkdayを使っています。われわれにとってWorkdayはビジネスの情報源です。

最もよく使用するソリューションは「Workforce Analytics Scorecard」です。これにより、ビジネス目線で離職率、パフォーマンス管理、従業員の感情など、人的側面の健全性に関する状況を把握し、問題を見つけることができます。気になる点があればクリックしてさらに深掘りできます。誰かにレポートを作成してもらう必要はありません。

すべてのソリューションにおいて、ステップごとにガイドしてくれるので、いつ何をすべきかが明確で、業務がシンプルになります。

例えば、パフォーマンスレビュー(業績評価)は時間がかかるため、重要とわかっていても面倒に感じるかもしれません。Workdayを使うことで、業績やキャリアについてスタッフと話す際の要点をシンプルに整理できるため、会話にフォーカスできます。長いフォームに入力する必要はありません。

パフォーマンスレビューの他にも、人材の発掘では、チームに適した人材や、メンターとして話をすべき人材をWorkdayが提案してくれます。

CPO/CHROが直面している課題は何でしょうか?

Goldsmith氏: 多くの組織にとって、従業員の維持が大きな課題になっています。グローバルベースのトレンドレポートから、われわれが追跡している産業の73%で、高い能力を持つ従業員が自発的に離職するという動きが増加していることが明らかになりました。

このような離職を防ぐには、従業員に意義のある仕事を確保することが有用だと考えます。意義ややりがいのある仕事をしていると感じている従業員は、そうでない従業員より達成感が37%高いという数字もあります。

当社が進めているスキルベースへの移行も、聞かれるようになりました。

スキルギャップの問題に対し、CPO/CHROはどのように支援できますか?

Goldsmith氏: 従業員が求められるスキルは常に変化しており、必要なスキルは職種により異なります。重要なことはスキルを定義し、スキル間の関係を理解し、スキルと職務をマッピングすること。これが、より良い従業員体験につながります。

スキルデータの信頼性を確保するには、複数のソースからのデータが必要です。既存の職務記述書、社内調査、業界のスキルデータベースなどから情報を集め、組織や特定の役割に合わせて検証します。

Workdayでは、従業員の80%に相当する約1万5000人の職務プロファイルに、承認している重要なスキルを設定しています。このデータは、採用からアップスキリング、キャリア成長まで、スキルベース戦略を実施するための基盤となっています。

製品チーム側と連携して、開発に影響を与えることはあるのでしょうか?

Goldsmith氏: 私個人も私のチームも、製品チームと常に話をしています。同時に、製品チームは多くの顧客と話をしています。われわれも一顧客ですが、他の顧客よりも詳しく、使い勝手や機能について説明できます。Workdayの顧客の声を、われわれが説明することもあります。

日本で、CHROという役職はまだ一般的ではありません。CHROを設置するメリットは何でしょうか?

Goldsmith氏: 企業がビジネス戦略を進めて目標やビジョンを現実にするために最も重要なのは「人」です。企業の成功を左右する鍵を握っているのは人的資源です。

そのように考えると、経営陣の中にビジネスにおける人材面を理解している人がいることは重要と考えています。財務、ITシステムなどと同様に、企業の成長と戦略の実現に不可欠だからです。

どのような人がCHROになるべきでしょうか? 理想の人材像があれば教えてください。

Goldsmith氏: まずは、ビジネスを理解していることは必須だと思います。ビジネスセンスがあり、自社のビジネスを理解し、ビジネス至高である人が望ましい。

次に、自社において人の要素がビジネス上の成功にどのように貢献するのかに関心があり、人的資源を最大に生かす方法を見出したいという人。急速な成長を支えるために適切な人材を採用したり、適材適所で配置したり、国や地域での人の戦略を立てたりするなどの業務がこなせる人。

必ずしも人事部門出身である必要はありませんし、専門の学位や教育を受けている必要はない。戦略において人が与える影響について関心があることの方が重要です。