ガートナージャパン(Gartner)は10月2日、非IT部門の社員向けテクノロジ教育を行う企業や公的機関のIT部門/DX部門のマネジメント層を対象に実施した、デジタル人材育成に関する調査結果を公表した。デジタル人材育成に3年以上取り組んでいる企業でも、具体的な成果を得ている割合は24%にとどまることが明らかになった。

  • デジタル人材育成の取り組み期間3年以上の企業における成果の実現度(出典:Gartner)

    デジタル人材育成の取り組み期間3年以上の企業における成果の実現度(出典:Gartner)

非IT部門向けデジタル人材育成の段階を尋ねたところ、全社的なデジタル人材育成に3年以上取り組んでいる企業でも、「業務向上・事業戦略の推進に貢献している」「実業務でスキルを発揮している」などに具体的な成果を実現している割合はわずか24%にとどまることが明らかになった。

この調査では、成果を得ている企業と得られていない企業の取り組みを比較し、成果の実現度に影響を与える4つの要因を抽出。デジタル人材育成に対する事業部門の関与度が高いほど、何らかの成果を獲得しやすいことが分かった。

  • 利用している成果の測定指標別に見た実成果の割合(出典:Gartner)

    利用している成果の測定指標別に見た実成果の割合(出典:Gartner)

また、デジタル人材育成には、実践的なケーススタディ型やプロジェクト型研修を取り入れることで、知識やスキルの実践と定着を促進できるとし、CIOは学んだ内容を現場で活かすための段階的なプログラムをリーダーに策定させるべきだという。非IT部門社員のデジタルスキル活用を奨励する支援策がある企業は、ない企業に比べて4倍近く成果を上げており(支援策あり:26%、なし:7%)、特に効果が大きかったものは「デジタルスキルを人事評価の目標に組み入れること」や「社内副業制度の導入」であったという。

デジタル人材育成の成果指標を4つのタイプに分類して成果の段階別に利用率を比較した結果、成果を出していない企業は「指標を定めていない」割合が高い一方で、成果を出している企業は多様な指標を設定し、「経営・事業レベルの成果指標」を最も重視していることが明らかになった。

ディレクター アナリストの林宏典氏は、次のように述べている。「デジタル人材育成の成果の評価は、DX本来の目的である経営・事業レベルの指標で行うべきです。CIOは、設定した指標を基に経営や事業部門が期待したインパクトをどの程度実現できているかを把握し、より大きな人材育成の成果を実現できるよう教育プログラムの進化に取り組む必要があります」