米Microsoftは9月16日(現地時間)、同社の生成AI「Microsoft 365 Copilot」の機能強化を発表した。AIによって生成されたプロジェクトやコンテンツをほかのユーザーと編集・共有できる新機能「Copilot Pages」や、Excel内でプログラミング言語「Python」のAI操作が可能になる「Copilot in Excel with Python」など、さまざまな機能強化が発表された。9月末から2024年内にかけて一般提供を始める予定だ。
同日の発表会に登壇したMicrosoft会長 兼 CEO(最高経営責任者)のサティア・ナデラ氏は「CopilotはMicrosoft 365を使用する4億人以上の人々のワークフローと成果物を変革している。価値のすべては人間とAIの相互作用により生み出されるようになる」と語った。
Microsoft 365 Copilotは、米OpenAIの「GPT」をベースにした大規模言語モデル(LLM)で構築されており、ユーザー企業が持つデータをセキュアに活用したうえで、Microsoft 365のアプリケーション群で「副操縦士」のようにナレッジワーカーの作業をサポートする。提供価格は1ユーザーあたり月額30ドル(約4200円)で企業向けに提供している。
新機能のCopilot Pagesは、主に企業のプロジェクトで使えるソフトだ。CopilotにWebで調査してもらった情報を変換・保存してチームメンバーと共有したり、業務知識を参照しながらリアルタイムで共同編集したりできる。AIが補助役となって共同作業をしやすくする。「AIを使ってアイデアを出し、他の人と協力することができる」(ナデラ氏)
ExcelにはCopilotと連携するPythonが組み込まれる。Pythonの操作をAIが手助けし、知識がなくても自然言葉で指示して操作できるようになる。依頼した処理をAIがコードにしたり、コードを実行して結果をExcelへ貼り付けるといったことができる。
またPowerPointには、イメージに近いプレゼンテーション資料の草稿を自動で作成する 「Narrative builder」と呼ばれる機能が発表された。AIと対話しながらアウトラインを考えたり、企業のテンプレートを用いて資料を作ってもらったりできる。
Outlookの改良も発表された。Copilotを使った「メールのプライオリティ設定」が追加され、AIがメールの差出人などから重要度を判別できるようになる。メールの送り主やタイトル、本文などを解析して、上司や顧客からといった優先度の高いものを上位に並び替えて強調し、メールを見落としにくくする。メールを書くときには文案・返信案を作ってもくれる。
「CopilotはAIのUIだ。Outlookで受信トレイを管理する場合でも、Excelでデータを分析する場合でも、PowerPointでスライド資料を作成する場合でも、Copilotは常にフローを維持できる」(ナデラ氏)