綿半パートナーズ、EC構築サービス「PayTouch」に不正検知サービス「Sift」を導入し、不正利用を9割以上削減

綿半ホールディングスのグループ会社である綿半パートナーズは、同社が提供する、決済機能も備えたネットショップ構築・運営サービス「PayTouch(ペイタッチ)」に、スクデットが提供する、AIを活用した不正検知サービス「Sift(シフト)」を導入した。「PayTouch」は、現在、綿半グループの8つのECサイトが利用している。

「PayTouch」では、「Sift」導入以前と比べて、不正利用が9割以上減少した。不正対策にかかる業務時間も7割削減できたという。一方で、カード会社によるオーソリ承認率は1.3倍に高まったそうだ。グループ外企業への「PayTouch」の提供も進めており、これから導入するECサイトも、「Sift」を利用して、万全な不正対策を行うことが可能だという。

<不正への対策強化が必要>

「PayTouch」を利用するECサイトでは、クレジットカードでの注文は全て「EMV3ーDセキュア」による本人認証を実施しているが、綿半パートナーズでは、それだけでは巧妙化する不正利用を防ぎきれないと考えていたという。「PayTouch」の利用サイトの中でも特に、家電ECサイトの「PCボンバー」では、不正犯に狙われやすい商材を扱っており、対策を強化しなければならないと危機感を持っていたそうだ。

 

一方で、カード会社のオーソリ承認率を高くし、正規ユーザーの利用を阻害しないようにしたいという思いもあったという。

綿半パートナーズでは、不正検知サービス導入の検討を開始。いくつかのサービスを比較した結果、「Sift」を採用し、「PayTouch」全体に導入した。

 

「Sift」は、日本を含めグローバルで起こる、多数の不正取引のデータをAIが分析し、導入企業の検知に活用する仕組みとなっている。

 

綿半パートナーズとしては、AIによる精度の高い検知に期待したという。

<承認率向上で売上アップ>

「Sift」導入から約4カ月が経過したが、不正利用が9割以上減少したという。不正検知を担当するメンバーのリソースも大幅に削減されたそうだ。

 

導入以前は、不正とみられる注文があった場合、注文情報と、カード会社から提供された情報をもとにチェックするのに、平日は2人体制、休日は1人体制で、1人あたり1日1~2時間かかっていたという。

 

導入後は、チェックしなければならない件数がわずかになった。「Sift」で取得できるようになったデータや、スクデットから提供されたノウハウによって、チェック自体も効率的に行えるようになり、チェック時間は7割ほど削減できたとしている。

 

クレジットカードのオーソリ承認率は、「Sift」の導入で不正利用を大幅に削減できたことにより、以前と比較して1.3倍になったとしている。カード会社によるECサイトの信用度が高まった結果といえそうだ。

 

オーソリ承認率が高まったことで、今まで正規のユーザーによる本人のカードの利用なのにオーソリNGとなってしまっていた注文が成立するようになった。そのことが、売り上げにも貢献しているという。

 

スクデットによると、適切な対策を施し、不正を抑制できているECサイトのオーソリ承認率は90%前後だそうだ。「PayTouch」の利用サイトでは、この水準を目指しており、このままのペースで改善していくと近い将来達成する見込みとしている。

 

スクデットによる導入・運用サポートが充実している点も、「Sift」の魅力の一つだという。

 

AIを補完する検知ルールの提案や実装をスクデットが行ってくれるそうだ。目視チェックをする際の手順や確認すべきポイントについては、クライアント企業に細かく丁寧にレクチャーしているという。

 

綿半パートナーズでは、目視で見つけた不正利用のデータを、「Sift」にフィードバックしているそうだ。これが同サービスの検知精度の向上につながっているという。

 

「Sift」の導入を担当した、綿半パートナーズITソリューションユニットの亘美弘セクションリーダーは「AIを導入したとしても、万全ではない。AIに任せすぎず、AIに白黒つけられないものを、最後には人間の経験値で見分けることが必要だ」と話している。

【不正検知サービス「Sift」とは】

機械学習モデルの不正検知サービス。基本的にはシステムが不正の自動判定を行う。ECサイトの特徴に合わせてカスタマイズすることが可能だ。サイト内でのユーザーの行動全体をデータとして収集し、AI/機械学習モデルにより、解析・スコアリングを行うとしている。巧妙化する不正を、より高い精度で検知できるという。機械学習が進むと、全注文の内、97~99%の注文を、不正注文の可能性が低い「低リスク」と判定することができるようになるとしている。

■「Sift」サービスサイト

https://sift.scudetto.com/