まくら、受注生産型の次世代EC物流「つくれるロジ」構築 在庫ゼロで即日生産出荷を実現

枕の製造、EC販売を行うまくらは10月1日、受注生産方式で即日生産出荷にも対応する枕の次世代ロジスティクスシステム「つくれるロジ」の運用を開始した。「在庫ゼロEC」をミッションに掲げ、「材料は持つが在庫は持たない」「商品廃棄ゼロ」「長期保管ゼロ」を目指す。

まくらが運用を開始した「つくれるロジ」は、受注生産方式で、即日生産出荷にも対応した枕のロジスティクスシステム。

まくらでは、千葉県我孫子市内において「我孫子ファクトリー&ロジスティクスセンター」を稼働し、ECで受注した商品の発送業務を行っている。これまでは主に商品の発送やギフトラッピング、アッセンブル業務に特化をしていたが、このほど「製造」「ファクトリー機能」を追加。ECでの受注後、枕の製造・生産を行い、出荷を行う体制を確立した。

▲ECでの受注後、枕の製造・生産を行い、出荷を行う体制を確立

DXの活用により、製造から出荷までのリードタイムを最大限に短縮し、12時までの受注は当日の製造・出荷を可能にしており、今後は土日の製造出荷にも対応し、365日体制での運用を計画している。

従来の大量生産・大量消費、さらには多品種小ロット型の製造販売に異議を唱え、必要なものを必要なだけユーザに届ける「ECでの受注生産方式」を確立できれば、あらゆる無駄が排除され、ユーザー、企業、環境のすべてにやさしい世界が構築できるとの考えを示した。

▲「つくれるロジ」こと我孫子ファクトリー&ロジスティクスセンター

今回の取り組みにより、単に出荷のみを行ってきた枕の既製品においては、楽天物流などを利用したアウトソーシングに切り替え、自社運営のロジスティクスセンターでは、受注生産が可能な商品の取り扱いに特化し、アウトソーシングでは実現できない「即日製造、即日出荷」の体制を整備。「強み」の見直しを図った。

▲一部の商品で受注生産に対応

なお、「つくれるロジ」は、その特性上、すべての商品・商材で対応はしておらず、現時点での対応商品は、オンライン上の枕診断で、AIが70万通りの中から『合う枕』を提案する「THE PILLOW Personalize」、スマホで簡単に注文できるセミオーダーメイド枕の「セレクト枕」など数種類。今後は、対応商品、受注数を徐々に増やしていき「つくれるロジ」に特化していく予定としている。

▲オンライン枕診断で理想的な寝心地を実現するパーソナライズ枕「THE PILLOW」も「つくれるロジ」から発送

枕のECを20年にわたり行ってきたまくらは当初、型番商品をメーカーから仕入れ、その商品をECで販売するというビジネスモデルで事業を拡大し、品揃えは最大5万点にもおよんだ。

同時にITにより業務効率化を進め「需要を予測した自動発注システム」などの独自システムを確立し、棚卸し資産回転日数8日の在庫回転率を達成した。

一方で、型番商品での価格競争の激化や即日配送需要の上昇といった要因から、オリジナル商品の製造・企画、販売へとビジネス形態が変化。その結果、在庫リスクや保管コストの上昇など、新たな課題を生むことになった。

こうした課題の中で、2020年よりDXを活用した課題解決に取り組んだ結果、次世代のECビジネスモデル「つくれるロジ」を確立。今回の運用スタートに至ったとしている。

今後はECでのBtoCだけでなく、BtoBでの販路でも「つくれるロジ」を活用していくとし、対象商品・受注数を徐々に増やし、月間3000件の出荷を見込んでいる。