日機装は8月14日、同社の研究開発拠点である日機装技術研究所内に新たな研究棟を建設することを決定し、2027年5月に竣工予定であることを発表した。

  • 新研究棟の外観イメージ

    日機装技術研究所に建設予定の新研究棟の外観イメージ(出所:日機装)

工業・航空・医療分野において専門的な機器を提供する日機装は、事業基盤の最適化および効率化と各機能の強化を目的として国内拠点の再編に取り組む中で、インダストリアル工場を宮崎へ移転し、工場跡地の一部にメディカル技術センターを建設することで、全事業の研究開発機能を東京都 東村山市内の拠点に集約。同拠点の機能を、生産から研究開発へと変更した。また2023年1月には日機装技術研究所を設立し、事業の垣根を越えた研究・技術開発を行う仕組みづくりをスタートさせている。

しかし同社によると、もともと生産拠点であった建屋を一部そのままにして研究開発拠点として利用しているため、業務機能と建屋のミスマッチが生じているとのこと。加えて、竣工から50年以上経過した建屋は老朽化に伴い維持改良費も増加していることから、研究開発に適した環境に整備して持続可能な研究開発体制を構築するとともに、技術のイノベーション創出を図ることを目的として、新研究棟の建設を決定したとしている。

今後については、現在の研究棟の解体工事を2024年9月に開始し、2025年10月に新研究棟の建設工事に着工する予定。2027年5月に竣工したのち、6月より稼働開始予定だといい、総工費は約124億円に上るとする。なお新研究棟の建設にあたっては、環境に配慮して既存建築の解体を少なくし、一部を改築して新研究棟として使い続ける工夫をするという。

新研究棟では、コンピュータ上でのシミュレーションを活用するCAE(Computer Aided Engineering)を用いながら、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーに対応するポンプや、生産自動化、コンポジット(複合材料)などに関する研究開発を行うという。また、大型のポンプやコンポジットの実験および試作が可能な大型実験試作エリアや、研究段階からの顧客との共創により製品開発を行うエリアを執務エリアに隣接する形で設置することで、“アイデアをすぐに形にする試作・検証が可能な環境”を構築するとした。

加えて、先に稼働中のメディカル技術センターと新研究棟を連結し、技術者が互いの知識を共有する場を設けるなど、技術者同士の交流を支援する環境を整備して、事業部間のコラボレーションを推進するとのこと。さらに同社が持つ技術を発信し、他企業や大学などの研究機関との連携を加速させる場を設け、人材育成やイノベーティブな製品の創出、および新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいくとしている。