林 順之亮・Zenken社長が語る「人手不足時代にあって外国のIT・介護人材の活躍を」

今、日本では人手不足、中でもIT人材の不足が深刻化しています。その状況の中で当社は2018年から、海外IT人材事業を始め、現在はインド・ベンガルールにある上位工科系大学48校の学生と日本企業をマッチングする新卒採用サービスなどを展開しています。

 この事業を行うにあたり、まずはベトナム、ウクライナ、ポーランドなど10カ国を視察しました。その結果、他社がベトナムに集中する中、ITが進展しているインド、その中でもベンガルールが国際色豊かで、ニュートラルな人々が多いことに着目しました。重要視したのはエンジニアのレベルと供給できる数です。

 ただ、当時は日本との間で直行便がなく、経由などを含めると17、18時間かかっていました。その環境下で事業に携わるメンバーが努力して、大学を開拓してくれたことで、当社は日本企業として初めて、大学の中にキャリアセンターを設けるまでになりました。現在は日本で働きたいインドの方々が約1万人登録してくれています。

 課題となっているのは、インドの方々の日本語の習得です。大学3年生の終わり頃に日本企業への就職が決まった後、急ピッチで勉強するわけですが、多くの人が基本的な日本語を理解することができるレベルの「N4」を何とか超えて、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる「N3」相当の会話力を習得しています。

 こうした方々を喜んで受け入れる企業もあれば、経営者は受け入れ意欲を持つものの、現場の技術責任者の方が日本語能力に懸念を持って躊躇する企業など様々です。業種もIT系の他、日本人のなり手が少ない機電系の製造業などにアプローチをしてきました。

 コロナ禍と日本語が壁となり、苦労してきたのがこれまでですが、人手不足は深刻化する一方ですから、この事業が今以上に必要とされる状況が必ず訪れると見ています。それに備えている企業さんも増えてきています。

 例えばアプリ開発・OMOソリューションに強みを持つアイリッジさんと提携しましたが、強い危機感を持って取り組んでおられます。人材を紹介することはもちろん、我々でエンジニアのチームを組成し、それをアイリッジさんのお客様に提供するサービスも行います。この事例は、同じように悩む企業さんの参考になる取り組みではないかと思っています。

 我々は地道に日本語教育を含めた事業の進化を進めていきますが、どこかで一気に成長するタイミングが来るだろうと考えています。

 また、人手不足に悩む介護業界に向け、介護人材を育成するインドネシアの専門学校と提携し、特定技能人材を受け入れています。

 介護福祉士資格取得と日本語教育を合わせた講座を提供しており、これには祖業である教育事業の経験が生きていますし、量ではなく人材の「質」で勝負できていると思います。

 我々の主力事業である法人向けウェブメディア制作、マーケティングは、今までは国内の超ニッチ市場で頑張っておられる技術を持った製造業のお客さまを国内でマーケティング支援してきました。これからは、お客さまの海外進出支援のため、海外でのマーケティング支援も進めていきます。

 いずれの事業も、前社名である全研本社時代からの教育事業のDNAがあるからこそ手掛けることができているのです。