クアルトリクスは7月24日、CEOであるジグ・セラフィン氏の来日に伴い、事業戦略説明会を開催した。同日、今後5年間で日本に1億米ドル以上投資するという発表が行われ、その狙いや用途について説明が行われた。

AIを活用したカスタマーと従業員エクスペリエンスの改善に向け投資

セラフィン氏は、「AIは仕事をしやすくするという認識が浸透してきているが、当社のソリューションを利用することでそれが可能になる。世界中で、AIを活用したエクスピリエンス管理(Experience Management:XM)が重要になってきている。なぜなら、顧客や従業員のエクスペリエンスの満足度が低いと、企業のボトムラインに影響を及ぼすからだ」と、エクスピリエンス管理の重要性を強調した。

  • 米クアルトリクス CEO ジグ・セラフィン氏

加えて、セラフィン氏は、「顧客や従業員のフィードバックから、彼らが大事にしていることがわかり、意味のあるアクションがとれるようになる。当社の製品によって、顧客や従業員のロイヤリティを高めると、顧客や従業員が増え、その結果、サービスやソリューションの価格が下がって売上の増加につながる」と、エクスペリエンス管理が企業の収益増加につながることを説明した。

そしてセラフィン氏は、同社がAIイノベーションのために2027年までにグローバルで5億米ドルの投資をコミットしていることを紹介し、同社がAIに注力していることをアピールした。

さらに、今後5年間にわたり、同社は日本に1億米ドル以上の投資を行う。この投資により、企業がカスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスを向上し、利益率の改善、従業員の生産性とエンゲージメントの向上、収益の増加を実現できるよう支援する。

具体的には、日本のユーザー向けにクアルトリクスのXMプラットフォームの機能や日本市場に沿った開発を継続的に進めること、日本国内のデータインフラの強化、技術的専門知識やリソースの増強、国内のパートナー企業へのサポート・支援などを含む。

あわせて、日本の企業や政府がAIを使用したエクスペリエンス管理技術を活用し、人的資本経営の実現やAI導入とデジタルイノベーションに焦点を当てた重要な戦略プログラムも推進する。

次世代プラットフォーム「XM/os2」で感情データの取り扱いを強化

続いて、クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏が、国内のビジネス戦略について説明した。2024年の活動の進捗として、「日本市場に向けたXMOS2の新機能の展開状況」「顧客のXM成熟モデル向上の支援サービス強化」「パートナーシップの強化」が紹介された。

  • クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏

次世代プラットフォーム「XM/os2」の新機能として、アンケートデータ以外の間接的フィードバック収集・分析機能、日本語自然言語解析(NLP) 機能強化、VTT (Voice to Text)の日本語版はリリースに向けて、順調に進んでいるという。

熊代氏は、新機能として、コールセンターの話した内容をテキスト化して感情を読み取るなど、感情データの取り扱いを強化していると説明した。

顧客の支援サービスとしては、収集したエクスペリエンスデータをビジネスで活用するためのアドバイザリーサービスを強化したほか、CXデータ・EXデータの相関分析サービスの提供を開始した。

また。パートナーシップに関しては、アドバイザリー、プラットフォームパートナーとの協業を進めているという。

熊代氏は、国内における投資について、「AIに投資し、日本市場でのサポートを強化し、新たな製品を提供していく」と語っていた。

開発が進められている「Qualtrics Assist」の新機能

続いて、クアルトリクス XM ストラテジー シニアディレクターの久崎智子氏が、同社のAI機能「Qualtrics AI」、生成AIエージェント「Qualtrics Assist」について、説明した。「Qualtrics Assist」は今年5月に開催された年次イベントで発表され、XM/osに組み込まれている。

久崎氏は、Qualtrics AIが、XMに特化したAIシステムであり、顧客、従業員、見込み客それぞれに最適化されたアプローチで対応できるよう独自の設計がなされていると説明した。

  • 「Qualtrics AI」の特徴

「Qualtrics Assist」は、プロンプトを介して回答を提供するが、久崎氏は、セキュリティ、信頼性、倫理性が担保されていることを強調していた。同氏は、開発が進められている「Qualtrics Assist」の機能として、「インタラクティブダッシュボード」と「会話型フィードバック」を紹介した。

「インタラクティブダッシュボード」は、ユースケース固有のモデルで微調整された動的なAI分析を活用して、専門的な分析スキルを必要とせずに、明確で実行可能な推奨事項に瞬時に変換する。これにより、データの専門家だけでなく、すべてのチームメンバーが洞察を引き出せるようにする。

「会話型フィードバック」は、ユーザーの入力に動的に適応するフォローアップの質問により、重要なコンテキストの階層を明らかにし、重要なものを見逃さないようにする。これによりユーザーの回答率を向上して、満足度を向上させて解約と離職の減少につなげる。

  • 「会話型フィードバック」の画面イメージ