鹿島建設(鹿島)は6月21日、森林内の自律飛行が可能なドローンを活用して取得した森林上空と森林内のデータを解析することで、森林を構成する樹種毎のボリュームや樹々毎の位置・樹高などを点群データ化し、評価する技術を開発したことを発表した。
Forest Assetの概要
鹿島は今回開発した技術を用いて、自治体や企業などの森林所有者向けに、森林づくり計画の提案から森林経営、活用支援までを包括的にサポートするサービス「Forest Asset」を提供開始した。
Forest Assetを活用することで、森林管理の生産性が向上するほか、森林資源を生かしたJ-クレジット制度や自然共生サイト認定の申請など、森林が持つ潜在的な付加価値向上に向けた取り組みが可能になるという。
技術の詳細
Forest Assetは、名古屋大学と共同研究により開発した、上空からドローンで取得した森林の点群データ情報を解析して材積(木材の体積)や樹種、樹高、立木位置、胸高直径を高精度で推定する技術のほか、森林内の自律飛行かつレーザー計測が可能なドローンを活用して、森林内を自律飛行しながらレーザー計測を行うことで、樹高、立木位置、胸高直径・曲がり、下草の有無など多様で複雑なデータを高精度に取得する技術が核となっている。
これら2つの技術で得られた点群データを連携させることで、広範囲の樹種ごとのボリューム把握や、個々の樹木の位置や樹高などの詳細情報を高精度に立体的に可視化することが可能。
さらに、同社の自然環境調査技術を組み合わせることで、生物多様性や森林の水源涵養機能を高めるプランを立案し、J-クレジット制度や自然共生サイト認定の申請につなげることができるとしている。
また、5月には、「Forest Asset」提供の初弾として、三井住友銀行が神奈川県伊勢原市日向地区での認証を目指しているOECMの事前調査に「Forest Asset」の一部技術を採用し、その有用性を確認したという。
鹿島は、Forest Assetを新たな事業の1つと位置付け、自治体や企業の持続可能な森林経営を支援するという。さらに「鹿島環境ビジョン2050plus」に基づき、カーボンニュートラルとネイチャーポジティブの実現に貢献するため、森林保全に向けた取り組みを推進する考え。