【会員制ECの成功事例】ミルボン、売上高は42%増に 美容室向けBtoBtoCーECが急拡大

美容室に向けてヘアケア・化粧品を供給するメーカーのミルボンが展開する、美容室向けのBtoBtoCーECサイト「milbon:iD(ミルボンアイディー)」が急拡大している。2020年のサービス開始から5年で、登録している美容室は6000店となった。登録している顧客数は、2024年3月時点で70万人となっている。2023年12月期の「milbon:iD」の売上高が、出荷額ベースで、前期比42.6%増の16億4000万円となった。「専門店のアイテムを自宅で使いたい」というニーズを取り込んでいることや、「milbon:iD」を活用する美容室が増えていることが、拡大の要因としてあるようだ。

「milbon:iD」は、ミルボンのシャンプーやトリートメントを扱っている美容室が、美容室の顧客にミルボンの製品を販売できるプラットフォームだ。ECモールのように、「milbon:iD」に美容室が出店(登録)する。ミルボン製品を購入したい美容室の顧客は、美容室から専用のIDを教えてもらい、スマホやPCから「milbon:iD」にログインする。美容室の美容師は、サービス提供の途中で顧客に、顧客の髪質にあった、シャンプーやトリートメントを購入して、自宅でケアすることを提案するのだという。

 

現在では、ミルボンの製品を扱う美容室の中で、「Aujua(オージュア)」や「iMPREA(インプレア)」などプレミアムな5ブランドを扱う美容室のうち、約6000店が、「milbon:iD」を利用しているという。

 

ミルボンの経営戦略本部の緒方博行取締役によると、これまでも、ミルボンの製品を扱う美容室では、ミルボン製品の物販を行っていたそうだ。ただ、顧客の15%程度しか、購入に結び付いていなかったという。「美容室に来店する顧客は、必ずしも、自宅のシャンプーやトリートメントが切れかけていて購入したいタイミングではない。一度は美容室で購入したとしても、リピートしてもらえるかなど課題があった。『milbon:iD』で、購入タイミングに縛られることがなくなった」と話している。

 

現在では、ミルボン製品を取り扱う美容室で、物販購入比率が顧客の約30%となるケースも出てきているという。緒方取締役は、「まだまだ伸びしろはある」と意気込む。

<売れ筋はパーソナルヘアケア>

「milbon:iD」の中で、最も売れ筋となっているブランドは、「オージュア」だという。「オージュア」は、18ラインから、美容師が顧客の髪質に合わせて組み合わせて提案できるブランドだ。パーソナルなケアを自宅でも実践できることから、人気となっているという。

 

「milbon:iD」に登録した美容室が、自主的にクーポンを発行したり、「送料無料」のキャンペーンを訴求したりする事例が生まれているという。

 

「milbon:iD」に、外部のライブコマースのサービスと連携し、販促のプロモーションの支援も行っているとしている。