「北欧、暮らしの道具店」、1型数千枚の在庫をECで売り切る商品開発と販売計画を公開

クラシコムは6月14日、ライフカルチャープラットフォーム「北欧、暮らしの道具店」において展開するオリジナルアパレルの商品開発と販売計画について公開した。好調のオリジナルアパレルは、1型数千枚を超える生産数を自社EC「北欧、暮らしの道具店」のみで販売。定価消化率95%を実現しており、好調を支える要因として、高い解像度の顧客理解の上に成り立つ「商品企画」、顧客のニーズを分析した「需要予測」、もっとも効果的な方法でアプローチする「販売チャネル」の3つを挙げた。

クラシコムの運営する「北欧、暮らしの道具店」は、「フィットする暮らし、つくろう。」をテーマに、北欧を中心とした様々な国の雑貨やアパレルを販売しながら、Web記事、音声メディア、ドキュメンタリー、ドラマ作品などを独自の世界観(ライフカルチャー)で発信するライフカルチャープラットフォーム。

商品売上においてはアパレル商品が約7割を占め、中でも2017年に開始したオリジナル商品の売上は著しく成長しており、今期も堅調に推移しているとし、2024年7月期第3四半期決算発表に合わせて、商品開発と販売計画の裏側を公開した。

クラシコムのオリジナルアパレルの主要ブランドは「日常(KURASHI)のなかに、ひとさじの非日常(Trips)を」をテーマとした「KURASHI & Trips PUBLISHING(クラシアンドトリップス パブリッシング)」。2021年からは年齢・性別を問わないブランド「NORMALLY(ノーマリー)」も展開しており、2023年7月期には「北欧、暮らしの道具店」の商品売上の約7割をアパレルが占めるまでに成長している。

実店舗やECモールを利用せず、自社ECのみでの販売ながら、各型数千単位を生産し、商品全体の定価消化率は95%超と商品廃棄率は限りなくゼロに近い値を保ち、サステナブルな商品開発を実現している。

▲「一枚でも、重ねても」絶妙カラーの長袖カットソー

2024年7月期第3四半期においては、2021年発売開始の定番商品「長袖カットソー」を約8000枚、「ベーシックニット」を約7000枚生産。類似商品のデータ分析に加え、複数回に渡る再販を重ねることにより、最大販売数を高い精度で予測できるようになった結果、年々販売数を伸ばしている。

▲「今日はなに色?どのサイズ?」私の定番ベーシックニット

2024年春夏発売のアパレルアイテムも好調に販売数を伸ばしており、2024年4月新発売の「半袖ベーシックニット」は、約2週間で初回生産分5000枚が完売、同年4月新発売の「軽やかUVカットパーカー」も約4週間で2000枚が完売。また同年6月発売の「きれい色のTシャツブラウス」は約2500枚が3日で完売した。

▲「おしゃれしながら、守りたい」軽やかUVカットパーカー

クラシコムは、オリジナルアパレル好調の大きな要因として、「商品企画」「需要予測」「販売チャネル」の3つを挙げた。

クラシコムのスタッフは約8割が元顧客であり、顧客と趣味嗜好が近いスタッフが自身の「動機」を元に企画をすることで、高い解像度で顧客の悩みや希望に寄り添う商品を実現。毎日配信しているコンテンツを通じて得られる顧客からの反応、年2回実施し、毎回2000件以上の回答を集める「お客さまアンケート」、アンケート回答者の中から個別のテーマでヒアリングを実施する「顧客インタビュー」、さらに商品の着用感やフィードバックを目的とした「試着会」等のリアルイベントを通じて、商品開発におけるさらなるインプットや新たなニーズの発掘を行っている。

生産数は、商品の売上や購入の販売スピード、「北欧、暮らしの道具店」のコンテンツやSNSのリアクション等、長年積み重ねてきたデータや「入荷お知らせメール登録(再入荷通知)」に登録されている顧客数を手がかりに、今後の販売可能数を高い精度で予測。顧客インタビューや試着会での顧客とのリアルな交流体験等、数値に置き換えられない定性的な情報も交えたロジックを生成し、商品ごとに需要予測を立てている。

販売には、300万超ダウンロードのスマホアプリをはじめ、オウンドメディアやメルマガ、YouTube、Instagram等、合計744万人のフォロワーを持つエンゲージメントチャネルを活用している。テキスト・動画・音声・リアルイベント他、商品特性や発売時期に合わせて最適なプラットフォームと表現手段で顧客へ商品を訴求する。代表的な商品訴求コンテンツの1つが、オリジナルアパレルの発売と同時に公開している「スタッフ着用レビュー」で、身長や体型の異なる複数のスタッフによる着用感を詳らかに公開することで、顧客の自分ごと化を助け、購入を後押ししている。

近年は、SNS経由で20代への認知が広がるとともに、サービスの成長に伴って50代以上の顧客も増加。幅広く顧客層が拡大していることから、2019年から累計販売数5万本を販売している「春いちボトムス・秋いちボトムス」シリーズや人気の「ブラックフォーマル」といった商品ページでは、年齢層の異なるモデルを2名起用し、幅広い世代の顧客が共感できるよう工夫している。

約2000枚を生産したERIKO YAMAGUCHIとのコラボ商品「hopeと名付けた真っ白なブラウス」では、オウンドメディアやSNSでの発信に加え、ポッドキャスト番組「チャポンと行こう」の特別回の配信、200名の顧客を招待するトークイベントを開催した。

これらの「商品企画」「需要予測」「販売チャネル」における強みは、「北欧、暮らしの道具店」が多様なエンゲージメントチャネルの上に、日々さまざまなデータ、ブランド、コンテンツを蓄積するカルチャーアセットを持ち、D2Cというビジネスを展開する「ライフカルチャープラットフォーム」であることに起因しているとし、今後もこのプラットフォームの拡張に注力することで、多くの顧客の「フィットする暮らし」づくりへの貢献を目指していく考えを示した。