【リブランディングの狙いは?】エートゥジェイ 執行役員 渡邉氏「メルカート機能更新を強化、上級者まで広く支援」

エートゥジェイが提供する、販促・CRM機能一体型のクラウドEC構築プラットフォーム「メルカート」は、2024年5月にリブランディングした。2023年7月のシステム刷新でより機能性を高めたことから、既存の強みであるサポートとかけ合わせ、幅広い規模のEC事業者の売上高拡大を実現する。2023年からの振り返りやリブランディングの背景を、執行役員 メルカート局 局長・渡邉章公氏に聞いた。

――2023年からの振り返りは?

導入件数や取引額は好調に推移した。食品事業者の導入が多く、全体ではECサイトの立ち上げをする「新規」と、システムを入れ替えるなどの「リプレイス」は半々となった。

コロナ禍を経て、2023年は着実に成長するEC事業者も増えた一方で、人材不足や費用面を理由に撤退する事業者も少なくなかった。実際にしっかりと運用ができているのかという境目になったと思う。

――基盤システムの刷新をしたことで、どのような効果があったか?

「メルカート」はパッケージの「ecbeing」から生まれたSaaS型のEC構築プラットフォームで、機能の豊富さやセキュリティー面に強みがある。これまでは技術的な理由で、アップデートなどのスピード感については、まだ伸びしろがある状態だった。そこでシステムを全面刷新した。利用者のECサイトを新基盤に移行し、2024年2月から本格的にサービスの提供を開始した。

システム刷新により、まずは既存機能のブラッシュアップなど、細かいアップデートの頻度が上がった。具体的には、これまでは数カ月単位だったアップデートが、2週間に1回の頻度で5~10個の改善をする。EC事業者の要望を反映する機能を加える場合も、最短1カ月で提供することが可能だ。

他にも、カスタマイズの幅が広がり、今までだったらパッケージでやっていたような対応や提案もできるようになった。EC事業者にとっては、自動でアップデートをするSaaSというのはパッケージやフルスクラッチに比べて負担が軽い。スピーディーな機能進化ができるようになったことで、「メルカート」がEC事業者と一緒にさらに成長できる体制が整ったと言えるだろう。

<信頼感と堅実さ強みに>

――リブランディングについては?

「メルカート」はもともと、丁寧なサポートを強みとしていたことで、「初めてでも安心して使える」というイメージを持つ人が多い。システムを刷新したことで、機能面も大きな強みとして出せる。そこで、「成長をさらに加速させたい事業者も長く使える」ことを強調したブランドとするため、見せ方を変えた。

EC市場での競争が激しくなり、より深い課題が増えてきた。どのフェーズであっても「メルカート」で対応できると伝えるためのリブランディングだ。

外からの見え方としては、「メルカート」のロゴの色をやわらかいものからビビッドな色合いへと変えた。親しみやすい印象だったものを、より信頼感や堅実さを出せるようにしている。

▲ビビッドな色合いへロゴを変更

プランについても、単品通販に特化した「定期プラン」や、CRMなどのマーケティング面を強化した「顧客理解プラン」などバリエーションを増やし、より専門性が高く、上級者向けの支援を提供する。

――今後の展開は?

マーケティングが高度化している中、どこでも人材が不足しているという状況に対して、「メルカート」は業務の自動化を推進していく方針だ。

まずは色々なサービスとの連携を実現するために、2024年6月にAPI提供を開始した。システム間でシームレスにデータを連携することで、利用できる機能を増やしたり、業務の効率化を進めていく見込みだ。

▲API提供を開始

中長期的には、AI技術も活用したい。商品説明やメルマガといったコンテンツの作成などで使うことを想定している。「EC運用者の高性能なアシスタント」としてAIを活用して、「EC人材がいないから撤退する」といった事例を減らすだけでなく、EC事業者の売り上げをさらに伸ばしていきたい。

SNSでモノを買う流れもできていることから、ECサイトはブランド独自の価値を持たせる必要がある。その方法の一つとして、販促のバリエーションを増やし、顧客個人に最適化した「おもてなし」をすることが大切になると思う。

リブランディングした「メルカート」では、あらゆるフェーズのEC事業者に向けた細やかなサポートとスピーディーな機能の提供に引き続き注力する。

■メルカートについて

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