富士通は5月28日、NTTグループなどが開発を進めるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の実現に向けて、既存の光ネットワークの信頼度をアップグレードできるディスアグリゲーション型光伝送ソリューション「FUJITSU Network 1FINITY T250」(以下、1FINITY T250)を開発し、5月14日より提供開始したことを発表した。

このソリューションは、大容量低遅延かつ低消費電力を実現するエンド・ツー・エンドの光ネットワーク「APN(All-Photonics Network)」実現に資するソリューションであり、遅延を制御する定量遅延技術と、光伝送装置のノード間をつなぐパスを無瞬断で切り替え可能な技術を搭載する。

同ソリューションを用いて冗長回線を構成することで、自然災害による回線障害や予測が難しい偶発的な機器故障のリスク、さらには道路工事などの外的要因による既存設備の移設作業に対して、回線障害をもたらすことなく自動で安定的な回線切り替えが可能になるとのことだ。

定量遅延技術により、障害時でも高品質なネットワーク回線を維持

1FINITY T250は、光伝送装置のノード間をつなぐパスごとの遅延を測定し、パスごとの遅延差がゼロになるように遅延量を制御してネットワーク全体のレイテンシ(応答時間)を揃える。これにより、離れた拠点間でのリモートコンサートやゲーム対戦といったユースケースにおいて、地理的要因によって発生する時間ズレの解消と公平性担保を可能とする。

この技術を応用することで、回線障害が発生した際にバックアップ回線に瞬時に切り替えられるようになり、回線の瞬断を防止し高品質なネットワーク回線が維持できるとのことだ。

  • ネットワーク接続のイメージ

    ネットワーク接続のイメージ

光ネットワークにおける遅延の可視化と制御

光ネットワークの拠点間の遅延時間を測定しログとして出力することで、その測定結果に基づいて1マイクロ秒単位でパスの遅延時間を制御可能。

光信号を送受信する既存のトランスポンダへ追加が可能

ネットワーク機器のオープン化を前提にした1RU(Rack Unit:幅19インチ×高さ1.75インチ)の筐体サイズで、既存の光ネットワーク構成に対して無瞬断切り替え機能を追加できるディスアグリゲーション型に対応している。

既存の伝送装置にダイレクトで接続可能なOTU4インターフェースを有し、光信号を送受信する利用中のトランスポンダのクライアントに接続することで既存ネットワークを高信頼性ネットワークにアップグレードできる。