セキュアワークスは5月22日、2024年度の事業戦略発表会を開催した。同社の主力製品はXDRプラットフォーム「Taegis」だが、代表取締役の廣川裕司氏は、XDRが求められる背景について、次のように説明した。
「昨今、セキュリティの脅威が複雑になっており、それに対応するためのログが膨大であり、誤検知が多い。そのため、エンドポイント、データ、クラウドとバラバラに対策を講じる従来のサイバーセキュリティでは限界がある。今や、統合型のソリューションが必須だ」
廣川氏は「当社はXDRという概念が普及する前から、TDRという製品により、サイバー空間のすべての脅威を見つけ出して対処していた」と、XDR市場における先見性を強調した。
廣川氏は、「Taegis」の特徴として、未知および既知の脅威を一元管理して、誤検知を最小化して 本当に必要な対処を優先的に行えることを挙げた。現在は、350程度のスタンダードと呼ばれるセキュリティ製品と連携してログを収集しているという。
今年6月には、「Taegis」のSDKの提供を始め、新しいパートナーが接続できるよう、オープン性を高めることが明かされた。
安定成長を追求する「セキュアワークスジャパン 3.0」の事業戦略
続いて、廣川氏は日本事業の戦略について説明した。同社は2013年日本市場に参入、10年かけて「事業基盤構築期」「成長加速期」と重ねてきたが、2024年以降は「安定成長期」と定め、日本事業の安定成長を狙う。
廣川氏は、2024年は3つ目のフェーズに入るとして、「安定成長期」は「セキュアワークスジャパン 3.0」に当たると銘打った。
具体的には、市場拡大に向けた3つの戦略と自社の成長に向けた2つの戦略、計5つの戦略を展開する。今回は、市場拡大に向けた3つの戦略について紹介が行われた。
製品を軸に据えた成長戦略
製品を軸に据えた成長戦略は、「XDRを中心とした『最先端製品・サービス』で拡大・進化する脅威・リスクを封じ込める」だ。セキュリティコンサルティング統轄事業本部長 荒井俊貴氏は、差別化のポイントとして、製品提供とコンサルティングを組み合わせることを紹介した。
荒井氏は、コンサルティングにおける注目のソリューションとして、「脅威インテリジェンス」「インシデント対応&管理」「セキュリティ&リスク・コンサルティング」を挙げた。
パートナービジネスに関する成長戦略
パートナービジネスの戦略については、パートナー営業・ソリューション技術統括本部長 阿部祐亮氏が説明を行った。同氏は、「当社はもともと直販が強かったが、3年前にパートナーと成長することに舵を切った。パートナー事業について3年間のロードマップを策定したが、今年が最後の年になる」と述べた。
この3年間、新たなパートナープログラムとして「グローバルパートナープログラム」を展開し、国内のパートナー50社のうち27社が旧基盤向けプログラムから新プログラムに移行した。
また、テクノロジーアライアンスとしては、MicrosoftやSentinelOneに加え、ニーズが高いOTセキュリティベンダーとのアライアンスを検討しているという。
さらに、阿部氏は「仕組みを用意するだけでビジネスが増えない」として、パートナーによる案件提案の支援を強化するため、Business Operation Center (BOC) による一気通貫の支援体制を整備した。このBOCの活用によって、ビジネスが伸びているとのことだ。
営業を軸とした成長戦略
営業を軸とした成長戦略については、営業統括本部長 上級セキュリティエバンジェリスト 松田敏幸氏が説明した。既存の顧客に対しては、CEM(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)としてライフタイムバリューを最大化の実現を目指す。一方、新規顧客獲得に向けては、CSM(カスタマーサクセスマネジメント)として、業界固有の課題を解決して、カバレッジを広げる。
「これまで33業種においてトップ3の顧客を獲得してきた経験を踏まえ、サプライチェーンリスクをより意識して業界固有の課題を解決することで、新規顧客に価値を提供する」(松田氏)
加えて、製造業が提供している製品のうち、インターネットに接続する製品が増えていることなどから、OTやIoTにおいてサービスカバレッジを拡大し、ビジネス全体の最適化を支援する。
そのほか、戦略案件が全体の過半数を超えるなか、中長期を見据えたソリューションを提供することに注力するという。