NTTドコモは5月10日、2023年度の決算概況および2024年度の業績予測を発表し決算会見を開いた。法人事業およびスマートライフ事業で増収増益を達成し、2025年度までの中期目標である法人収益2兆円に向け順調に推移しているとのことだ。
2023年度決算は対前年増収増益、コンシューマー事業は微減
2023年度の決算を振り返ると、営業収益は810憶円増となる6兆1400憶円、営業利益は505憶円増の1兆1444憶円、当期利益は233憶円増の7951憶円となり、対前年で増収増益を達成した。これらはいずれも過去最高となる。
法人向け事業だけを見ると、営業収益は760憶円増の1兆8817憶円、営業利益は416憶円増の3242憶円。スマートライフ事業では、営業収益は163憶円増の1兆908憶円、営業利益は92憶円増の2044憶円だ。一方、コンシューマー通信事業では、営業利益は26憶円減となる3兆4248憶円、営業利益は2億円減となる6158憶円でほぼ横ばいの微減となった。
法人事業においては、特に大企業向けに展開する統合ソリューションが好調だという。統合ネットワークやコンタクトセンターソリューション、IoTソリューションなどの拡大により、事業収入は対前年で9%増となる7337憶円を達成した。
また、クレジットカードやQRコード決済といったサービスも成長している。金融決済の取扱高は13兆円まで拡大した。加えて、dポイントクラブ会員は1億会員を突破、今後はアクティブ会員の増加を図る。
NTTドコモは7月に、コンシューマー向け組織を一体的に運営するための新会社を新設する。経営資源の効率的な活用と成長施策への再配分により事業運営を効率化するとともに、ユーザー接点を最適化する。これにより、コンシューマー向け事業のさらなる拡大を狙う。
2024年度業績予想、さらなる増収・増益を目指す
2024年度の業績予想においては、営業収益は1040憶円増の6兆2440憶円、営業利益は256憶円増の1兆2700憶円となる計画だ。対前年で増収・増益を目指す。
NTTドコモの代表取締役社長 CEOである井伊基之氏は「2024年度は引き続き法人向け事業やスマートライフ事業の成長と拡大によって、前年以上の利益成長を目指す。新たな生活価値やライフスタイルを大きく変えていく取り組みを進める」と前向きのコメントを述べた。
法人向け事業のうち大企業向けには、LLM「tsuzumi」など先進技術を活用したソリューション提供を強化する。特に、顧客体験、従業員体験、CRX(Cyber Resilience Transformation:事業継続性強化)といったニーズの高い3領域でtsuzumiを活用したソリューションを展開するという。
中堅・中小企業向けには、NTTドコモのモバイルを活用したソリューションを展開。LGPF(Local Government Platform)による地域課題解決のためのソリューションや、業務ごとの課題解決を支援するパッケージサービスなどを伴走型で導入を支援する。
同社はさらに、環境変化や災害に強いネットワークの構築にも取り組む。決済アプリなどを用いたユーザーの体感品質の把握と予兆検知を強化するだけでなく、設備の増強などを含めたネットワーク強化を図る。Starlinkを活用した災害時の通信確保などにも注力する。