アストロスケールは4月26日、2024年2月より進めている商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(Active Debris Removal by Astroscale-Japan)」のミッションにおいて、対象デブリへの接近中に撮影した画像を公開した。

運用を終了した衛星やロケットなどのデブリは、地上との通信もできず、現在の状況を把握することが難しい。そのため、そうしたデブリへの安全な接近および捕獲を実現するためにも、対象物であるデブリの劣化状況や回転の速さなど、軌道上での状態を把握する必要があり、今回のミッションでは、そうした実際のデブリの除去に向け、安全な接近手法を実証し、手を伸ばせば届く距離までデブリに接近し、その状態を調査することを目的としている。

今回のミッションで対象としているデブリはGOSATを打ち上げた「H-IIAロケット15号機」の上段。全長約11m、直径約4m、重量約3トンの大型デブリで、接近・近傍運用を実証し、長期間軌道上に存在するデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行うことが予定されている。

ADRAS-Jは4月17日時点で、対象デブリの後方数百mまで接近することに成功。今後も、さらなる接近を目指した運用が行われていく予定。また、同社は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める大型デブリ除去などの技術実証を目指した商業デブリ除去実証プロジェクト(CRD2)のフェーズIIの契約相手方にも選定されており、次世代の実証衛星「ADRAS-J2」にて、実際にデブリを捕獲、降下させ、デブリを除去する技術の軌道上実証を行うことも予定している。

  • ADRAS-Jが撮影した観測対象のデブリ

    ADRAS-Jが撮影した観測対象のデブリ(H-IIAロケット15号機の上段) (C)Astroscale