Googleは、これまでGoogle Oneユーザー向けと特典として提供していたVPNサービスの「Google One VPN」について、2024年6月10日をもってサービス終了する方針を発表した。Google Oneのヘルプページでは、Google One VPNの利用者に対し、代替手段と今後やるべきことを紹介している。
「Google One VPN」とは
「Google One VPN」は、GoogleがGoogle Oneのユーザー向けに提供していた無償のVPNサービス。ユーザーが公衆Wi-Fiアクセスポイントなどを利用する場合に、通信経路を暗号化することによってプライバシーやセキュリティを保護することを目的として、2020年10月に開始された。日本では2022年に利用可能となった。
企業で利用される拠点間のVPNとは異なり、Google One VPNのような公共VPNサービスでは、ユーザーの端末とVPNプロバイダーの間の通信経路のみが暗号化される。ユーザーは、インターネットを利用する際にVPNプロバイダーを経由して接続することで、通信経路の途中にあるWi-Fiアクセスポイントやインターネットプロバイダーによって通信内容の盗聴や改ざんが行われるのを防止できる。一方で、VPNプロバイダーからの先の通信については暗号化の対象外となる。
通常の公共VPNサービスとGoogle One VPNの大きな違いはその認証方式だ。通常のVPNではユーザーのIDがネットワーク トラフィックにリンクしているため、VPNオペレーターやインフラに不正侵入した攻撃者に、ユーザーのアクティビティーを盗み見られる可能性がある。Google One VPNではユーザー認証とVPNへの接続にブラインド署名を採用することで、ユーザーIDがネットワークアクティビティーにひもづけられないようになっている。
「Google One VPN」の仕組みについては次のページで詳しく解説されている。
「Google One VPN」の代替手段
前述のように、Googleは2024年6月10日をもってGoogle One VPNを終了する計画を発表した。終了の理由は、当初の想定と異なり、このサービスがほとんど使われていなかったからだという。
Google One VPN終了後の代替手段としては、以下が紹介されている。
- Google Fi Wireless(GoogleのMVNOサービス)の利用者は、携帯通信プランの一部としてVPNを利用できる
- Google Pixel 8では、システムの一部としてVPN機能が組み込まれている
- Google Pixel 7では、2024年6月3日のシステムアップデートを適用することで、システムの一部としてVPN機能が利用可能になる
- Google Playストアで各種VPNアプリを入手可能
Google Oneの特典として提供されているVPNサービスは終了するものの、Pixel 8以降の端末に用意されている組み込みのGoogl VPNは引き続き利用できる。また現在は、Pixel 7にGoogle VPNは組み込まれていないが、2024年6月3日に提供予定のアップデートによって、Pixel 7、7 Pro、7a、およびFoldではGoogle VPNが利用可能になる。
したがって、Pixel 8およびPixel 7のユーザーであれば、Google One VPNが終了しても特に不便は感じないだろう。その他のユーザーは新たにVPNサービスを探さなければならないが、提供事業者の信頼性については十分に注意を払う必要がある。