テラスカイと同社のグループ会社であるBeeXは4月16日、オンラインとオフラインのハイブリッドで決算説明会を開催。説明会にはテラスカイ 代表取締役 CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏、BeeX 代表取締役社長の広木太氏が出席した。
昨年の売上高は前年比23.9%増の191億3700万円
同社では、SalesforceやAmazon Web Services(AWS)などのクラウドを活用したシステム開発、特定ソリューションの開発・提供を行う「ソリューション事業」、「mitoco ERP」をはじめとしたクラウドに特化したサービス、製品を開発・提供する「製品事業」の2つ事業を展開している。
2024年2月期の売上高は前年比23.9%増の191億3700万円、営業利益は同2.1%増の522億円、経常利益は同7.4%増の65億5000万円、当期純利益は同13.6%減の30億円と増収増益ではあったものの、期初予想からの達成率は97.9%で下回った。
佐藤氏は「2桁成長を遂げており、引き続き成長のトレンドに乗っている。セグメント別ではソリューション事業は前年比25%増、製品事業は同10%増となり、2桁成長を達成している。プラットフォーム別の売上構成ではSalesforceが前年からマイナス3ポイントの59%、AWS(Amazon Web Services)とGCP(Google Cloud Platform)関連を合計したIaaS(Infrastructure as a Service)はプラス3ポイント41%となった。従業員数は前年比256人増の1238人に増員し、Salesforce認定技術者数も国内2番目であり、NTTデータさんとの合算はもちろん、単体でナンバーワンになれればと考えている」と振り返る。
2024年2月期のトピックとしては昨年9月に「mitoco 会計」をリリースしたほか、Salesforceの「2023年人気のあったAppExchangeアプリランキング」で4年連続の入賞を果たした。また、Salesforceのリリース管理ツールを提供するFlosumと国内独占販売パートナー契約を締結し、建設管理向けのSalesforce Appexchangeを提供するオーストラリアのHardHatとは国内初のインプリパートナー契約を締結。
さらに、セゾン情報システムズと共同事業の「DataSpider Cloud」を事業継承し、自社製品「mitoco X」として提供を開始し、テクノスジャパンとは同社が提供する企業間協調プラットフォーム「CBP」とテラスカイの「mitoco」、同社が独占販売する「Fujitsu GLOVIA OM」(GLOVIA OM)の連携、導入コンサルタントの相互協業を発表。そのほか、秋田市と島根県松江市にサテライトオフィスを設置し、東京、大阪、名古屋、福岡、北海道、上越を含めて8拠点に拡充した。
2025年2月期はNTTデータとの取り組みを推進
2025年2月期の業績予想は売上高が前年比25.5%増の240億2400蔓延、営業利益が同73.4%増の90億5000万円、経常利益が同52.7%増の10億円を計画。従業員数は同392人増の1640人への拡充を目指す。
先日、発表したNTTデータとの資本業務提携に関しては「国内外におけるNTTデータの顧客にSalesforce導入の加速」「顧客のDX戦略をエンドツーエンドでサポート」「相互ブランド力、人材育成をベースにデジタル人財の獲得・拡大の加速」「グローバルマーケット展開加速」に取り組む。
特にNTTデータの顧客にSalesforceを導入していくことについては、金融や法人、ユーティリティ、通信、観光庁など、特定インダストリーに適応した新規サービスの企画・開発を行う。また、従来はNTTデータが手がけてこなかった顧客に対する伴走型支援を行い、開発の内製化や持続的な運用体制の構築を支援する考えだ。
さらに、テラスカイのタイの子会社を中心にmitocoやSalesforceの導入を促進し、クラウド専業マネージドサービスプロバイダー(MSP)のオフショアとして多元対応可能な24時間365日対応できる体制の構築を目指す。
一方、mitoco ERP関連ではmitoco 会計において、昨年9月リリースの財務会計(GL)、今年3月リリースの債務管理(AP)に続き、債権管理(AR)のリリースを予定し、すべての機能が出揃う。佐藤氏は「一般的なERPと肩を並べる機能構成となることを自負していることから、力強く販売していく」と話す。また、先日に提供開始した「mitoco AI」を同氏は訴求していた。
BeeXは「大きく成長できた年」
続いて、広木氏がBeeXの決算説明に立った。同社は「クラウドインテグレーション」「クラウドライセンスリセール」「MSP」の3つの事業を展開し、マルチクラウド利用のニーズに対応している。
広木氏は「クラウドインテグレーションをフロー型、ライセンスリセールとMSPをストック型と定義すれば、売上比率はフロー型が3割、ストック型が7割だ。一番の強みはSAPシステムのクラウド化、あるいはS/4 HANA化など、大企業における基幹システムのクラウド化、モダナイズ化を得意としている」と説明した。
今年の振り返りとして、まず同氏はAWSの最上位認定「AWSプレミアティア サービスパートナー」の取得や「内製化支援推進AWSパートナー」への参加、オブザーバビリティサービス「New Relic」、Oktaの提供開始などを挙げた。
2024年2月期の業績は売上高が前年比33.7%増の77億円、売上総利益が同44.3%増の15億1800万円、営業利益は同48.6%増の5億9900万円、経常利益は同50.4%増の6億1500万円、純利益は同47.2%増の4億4000万円、クラウドライセンスリセールアカウント数は同46増の426アカウント、従業員数は26人増の166人となった。
広木氏は「大きく成長できた年だった。特にクラウドインテグレーション(フロー型)が伸長し、大きなインテグレーションとしてSAP S/4 HANA化に向けた大型案件が獲得でき、売上拡大とともに高い利益率をもたらした。また、ストック型についても堅調だった」と述べた。
クラウドライセンスリセールは第3四半期と第4四半期は減少したが、増加傾向で着地。企業におけるコスト最適化ニーズに対応するため、AWSのSP/RIという長期契約ディスカウント契約を大型顧客と締結したことが影響したという。
2025年の売上高は前年比23%増の94億7000万円を計画
2025年2月期の業績予想は売上高が前年比23%増の94億7000万円、売上総利益は同18.1%増の17億9300万円営業利益は同8.5%増の6億5000万円、経常利益は同5.3%増の6億4800万円、純利益が同6.2%増の4億6800万円の見通し。
これらの実現に向けては「マーケティング戦略」と「人材採用・育成戦略」を行う。マーケティング戦略ではクラウドライセンスリセールの拡販を目的としたWeb媒体やSNSなどで広告展開を予定し、リアルイベントなど外部業者主催のITイベントやセミナーへの出展・参加を予定。広告や動画配信などマーケティング施策を積極的に行い、同社サービスの認知度向上を図り、さらなる新規契約の獲得を目指す。
人材採用・育成戦略では、エンジニア採用数強化や営業人員の増強による人材紹介会社に対する紹介手数料の増加を見込み、求人サイトへの広告出稿など来期以降の人員獲得に向けての投資も積極的に行う。さらに、人材育成の強化に向けて、各種トレーニングサービスへの投資といった施策に取り組む。
さらには、成長戦略として「基幹システムのクラウド化/モダナイズ化」「デジタルトランスフォーメーション」「マルチクラウドリセール/MSP」の3つを進めていく。
基幹システムのクラウド化/モダナイズ化については、前述のSAPシステムのクラウド化およびSAP S/4 HANA化の支援に注力。DXではデータプラットフォーム構築やアプリケーション開発により、伴走型サービスを強化して企業の内製化を支援する。マルチクラウドリセール/MSPに関しては、運用・監視サポートからセキュリティサービス、オブザーバビリティサービス、AI活用、FinOps、伴走型サービスといったマネージドサービスを推進していく方針だ。