ベネッセは今般、「最新デジタル教材 体験取材会」と称して、小学生~高校生を対象にしたベネッセの最新のデジタル教材・サービス(家庭・学校現場)のデモンストレーションと、ベネッセが捉える教育課題・教材におけるデジタル活用についての説明会を実施した。
デモンストレーションにはベネッセが展開する16個の最新コンテンツが展示され、説明会には、進研ゼミ中学講座の公式Vティーチャーである「なるり」が司会として登壇し、会見を盛り上げた。
デジタルコンテンツでやる気をアップさせる
最初に登壇した小学生商品開発部 部長の山津祥子氏は、子どもたちの学習意欲について「低迷」「二極化」している現状を説明した。
東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が行った「子どもの生活と学びに関する親子調査」によると、学習意欲は経年かつ学年が上がるにつれて低迷しているという。また、2021年度と2023年度の学習意欲の変化を比較すると、「意欲が低いまま」と「意欲が高いまま」という回答が一定層存在し、二極化が見える結果となっているという。
加えて、山津氏は子どもたちの学習環境にも大きな変化が起きていると説明する。
「発達特性のある生徒や外国籍の生徒が増えた結果、教室は多様化が進んでいます。加えて、GIGAスクール構想なども進展しています。その一方で、ICTを活用した個別指導は道半ばといった調査結果もあります」(山津氏)
これらの背景から「やる気格差」の解消、「個別最適な学び」の進展をデジタル活用で加速させることがこれからの教育に必要とされており、ベネッセでは、特にやる気向上のアプローチ方法として、学習内容や発達段階に合わせて、さまざまなデジタルアプローチで学習行動自体や、学習内容への興味・関心を向上させる取り組みを行っている。
ベネッセのデジタルコンテンツは、4つの観点から制作されており、リアリティで学習内容への興味向上を図る「体感」、仲間との切磋琢磨で学習そのものを楽しくする「コミュニティ」、対戦・レベルアップで知識の獲得や活用を実感する「ゲーム」、生活に溶け込み学習行動・内容への興味喚起をする「見える化」となっている。
この4つの観点に沿って学齢ごとにさまざまなコンテンツが作成されているのが、ベネッセのデジタルコンテンツの魅力となっている。
筆者が選ぶ「子どもたちのやる気を引き出すコンテンツ」2選
続いて行われたデモンストレーションのパートでは、ベネッセの展開する16のデジタル教材が展示され、開発担当者たちがその性能や特徴を説明した。
デモンストレーションブースには、以前、弊誌内でも取り上げている生成AIで生徒の悩みを解決する「チャレンジ AI学習コーチ」や、VR教材で抽象度の高い中学生の学びを支援する「ハイリコム学習」といった最新のデジタル教材が並んでいた。
今回は、それらの中でもとりわけ筆者が目を引かれた2つのデジタル教材を紹介する。
勉強の頑張りを記録できる「スマートウォッチ」
最初に紹介するのは、学習時間や趣味、お手伝いなどの時間を記録することができる「スマートウォッチ」だ。これは、一般的なスマートウォッチの機能である「音楽」「メッセージ(LINEなどのSNS)」「歩数計」といった機能に加えて、学校の宿題や進研ゼミに取り組む際の時間を記録できるツールとなっている。
スマートウォッチ専用の「Smart Watch NEOアプリ」と同期することによって、スマートウォッチで計った時間をアプリ上に記録することができ、「目標時間に対しての勉強時間」や「日・週・月・年ごとの学習時間データ」などを見ることができる。
加えて、特徴的なのが「自由トレーニング」という項目だ。この項目は、「学習/運動記録」の中に設置されている項目で、学習と運動"以外"の頑張った時間を記録するというものだ。
使用方法は特に設定されておらず、楽器の練習や趣味の時間、読書の時間、お手伝いなどといったそれぞれの「時間=頑張り」を記録することができる。
この項目には、勉強や運動といったことだけでなく、自分の好きなことや得意なことに時間を使うことも、学校生活を豊かにする上で重要なことだという意味合いが込められているという。
ゲームで学習「進研ゼミ 得点力アップシリーズ for Nintendo Switch」
続いて紹介するのは、子どもたちの慣れ親しんだデバイスとゲーム形式で、学習意欲と学力を向上するために開発された「進研ゼミ 得点力アップシリーズ for Nintendo Switch」だ。
すでに2023年度に小学4年生、5年生、中学1年生向けの3つのゲームが開発されており、2024年度からはこれらに加えて、小学校1・2年生、3年生、4年生、5年生、6年生、新中学1年生という6つのゲームが追加される形だ。
筆者は、この9つのゲームの中から、小学校1・2年生向けの「けいさんパズル アドベンチャー」と小学校3年生向けの「無人島で探検!発見!理科社会 すごろくクイズ アドベンチャー」を体験させてもらった。
けいさんパズル アドベンチャーは、小学生のつまずきがちな算数にフォーカスしたゲームで、さまざまな難易度の計算ゲームが用意されている。筆者は、数が書かれたボールをくっつけて「足して5にする」というステージを体験させてもらった。時間制限やアイテムの仕様など、夢中になれる仕掛けがたくさん用意されており、大人でもつい時間を忘れて遊んでしまう。
もう1つの無人島で探検!発見!理科社会 すごろくクイズ アドベンチャーは、人生ゲームのような形で理科と社会を学べるコンテンツとなっている。けいさんパズル アドベンチャーよりも学齢が上の生徒をターゲットにしているため、キャラクターメイクの要素などが充実している。
「楽しい経験だからこそ、学習内容を忘れずにしっかり定着させることができる」と開発担当者が語る通り、ゲーム形式で分かりやすい上に、勉強に対する苦手意識を払しょくするのに最適なコンテンツだと感じた。