BEENOS、「越境EC×アニメ ヒットランキング2023」発表 ポケモン、呪術廻戦など人気

BEENOSは3月18日、海外ユーザーによる越境ECでのアニメグッズの消費動向を紹介する「BEENOS 越境EC×アニメ ヒットランキング2023」を発表した。2023年に新作や新シリーズとして放送を開始したアニメ作品を対象に海外でグッズが動いた作品や関連商品などをまとめ、ポケモンや呪術廻戦といったタイトルが海外でも人気が高く、アニメグッズ購入において中南米エリアの成長が著しいことなどがわかった。

「動画配信サービス」の普及が進み、世界中の消費者が過去から現在までの日本のアニメ作品を視聴できるようになった。コロナ禍や円安を追い風に越境EC市場が拡大し、海外のアニメファンが愛着を持つ作品の商品やグッズが、国境を超えて購入される機会も増加している。日本動画協会発表の「アニメ産業レポート2023」によると、2022年のアニメ関連市場は過去最高の2兆9277億円を記録し、約半数の14兆円は海外市場となった。

海外向け購入サポートサービス「Buyee」においてもアニメ関連商品は人気のカテゴリであるとし、「Buyee」を運営するBEENOSは、2023年1月1日~12月31日の期間内に放送を開始した新作、新シリーズ、新期作などのアニメ作品を対象に、2023年1月1日~12月31日の「Buyee」購買データをまとめた「BEENOS 越境EC×アニメ ヒットランキング2023」を発表した。

多種多様な商材が流通する越境ECにおいて、「アニメ関連の消費動向」に焦点を当てて調査し、海外ユーザーのインサイトを公開することで、日本が誇る文化であるアニメを海外ファンがどのように受容しているのかに加え、市場の可能性を探る。

2023年の「Buyee」における、アニメ関連グッズのシェアは25%と、全体の1/4を占める結果となった。アニメ関連グッズの購入においてもっとも成長したエリアは「中南米」で、購入金額120%・購入UU数130%・購入件数125%に伸長した。

2023年1月~12月に日本でTV放送が開始された約300のアニメ作品の関連商品で、海外ユーザーからもっとも購入されたタイトルは「ポケットモンスター」だった。2位「呪術廻戦」、3位「あんさんぶるスターズ!!」、4位「鬼滅の刃」も全エリアでトップ5にランクインし、上位作品は世界中で支持を受けていることが分かった。

「ヨーロッパ」「東アジア」「北米」「中東」「東南アジア」「中南米」のエリア別ヒットランキングでも、「ポケットモンスター」が全エリアで1位を獲得した。全体のヒットランキング5位の「五等分の花嫁」は、「東アジア」「東南アジア」「中南米」エリアで人気なことがわかった。全体2位の「あんさんぶるスターズ!!」は、「北米」と「ヨーロッパ」エリアでは2位にランクインした。「中東」エリアでは、もともと現地人気の高い「キャプテン翼」が2位にランクインするなど、エリアによる差が見える結果となった。

エリア別の越境EC人気商品カテゴリランキングでは、「ヨーロッパ」「北米」「中東」でトレーディングカードが1位、フィギュアが2位となった。「東アジア」と「東南アジア」は1位がフィギュア、2位がトレーディングカード、「中南米」では1位がフィギュア、2位はぬいぐるみだった。フィギュアは全エリアで2位以内に入り、高い人気を見せた。「ヨーロッパ」「北米」「中東」の経済力のある地域では、コレクション性だけではなく資産性もあるトレーディングカードが1位を獲得した。

コロナ禍以降、動画配信サービスの拡大により、日本と世界でタイムラグなく作品がヒットするようになった。作品のヒットのタイミングの変化は、越境ECの流通動向にも影響を与えている。世界的なパンデミック前の2019年に放送が開始された「鬼滅の刃」と、2023年に放送が開始された「推しの子」を比較すると、「鬼滅の刃」は放送開始から流通上昇までに約3カ月かかったが、「推しの子」は放送開始直後から流通が上昇しており、「世界同時消費」が起きていることが分かる。

ランキング発表にあたり海外アニメファンを対象に実施した、アニメグッズの購入環境についての調査によると、「アニメを『見る』以外にどのようにアニメを楽しんでいるか」の問いでは、「アニメのグッズを買う」が1位となった。ファンアートの鑑賞やSNSでの交流といったオンライン上の活動に対し20ポイント以上の差をつけており、海外アニメファンにとってグッズ購入が大きな楽しみであることがわかる結果となった。

「好きなアニメ作品のキャラクターグッズが自身の住んでいる国・地域で販売されているか」という質問に対しては、「販売されているが購入が難しい」という回答が57%ともっとも多かった。「販売されていない」の回答も24%あり、「販売されていて、購入も簡単」と答えた人は19%に留まった。

アニメグッズ購入時の課題や不満についてたずねた問い(複数回答)でも、「自国で購入できる店舗・ECが少ない」が最多の51%、続いて「自国で購入できる作品やグッズの種類が少ない」が43%と、海外におけるアニメグッズの購入環境はまだまだ限定的であることが分かった。

アニメ産業における海外市場は拡大を続けているが、現在の市場拡大はアニメ作品の視聴に牽引されており、アニメの視聴環境は世界的にも差のない環境が整備されている。一方でアニメのグッズの流通は、国・地域による差が大きい状況だ。

BEENOSグループは、日本のコンテンツや商品を愛する海外のユーザーが、欲しい商品を諦めず簡単に購入できるよう、複数サイトから購入した商品をまとめて配送する同梱サービスや、対応言語の拡大、決済手段の拡充、安価かつ短期間で商品を届ける配送プランの開発など、サービス改善につとめるとともに、連携企業を拡大してきた。

今後も越境ECを通じ、アニメをはじめとする日本の優れたコンテンツ文化と海外ファンを繋ぎ、作品の視聴だけではなくグッズ等の購入においても日本と同じように楽しめる環境の構築を推進していく考えを示した。