日本経済新聞社と金融庁は3月5日~8日、FinTechをテーマにした年次カンファレンス「FIN/SUM2024」を開催した。「“幸福”な成長をもたらす金融」をテーマに掲げた今回は、国内外の専門家や先進的な取り組みをする企業のリーダー、スタートアップ創業者、政策当局者らが登壇するシンポジウムのほか、ワークショップ、ピッチコンテストなどを実施。多くのビジネスパーソンが参集し、会場は活気に溢れた。
初日となる3月5日には、「Generative AIが変える金融機関の未来 ~Microsoft Japan will Empower and Copilot Your Growth~」と題し、日本マイクロソフト 代表取締役社長 津坂美樹氏、同 業務執行役員 金融サービス事業本部 銀行・証券営業本部長 金子暁氏が登壇。マイクロソフトの生成AIへの取り組みについて、金融機関における活用という観点からデモを交えて語られた。本稿ではその模様をダイジェストでお届けする。
生成AIを使った変革 -「AXの時代」が来た
冒頭、津坂氏は経済産業省の調査結果を示し、「日本における生成AIの経済効果は、2025年度までに中小企業で11兆円、大企業も含めると34兆円と試算されている」と、生成AIが社会にもたらす経済的なインパクトを説明した。
「ここ数年、新聞を見ると毎日『DX』の文字が並んでいますが、いよいよ生成AIを使ったトランスフォーメーション、AXの時代が来たのではないかと思います」(津坂氏)
これを裏付けるかのように、マイクロソフトが提供するAI関連サービス(Azure AI Services)の導入企業も増えているという。過日開催された「Microsoft AI Tour - Tokyo」では、Azure AIの顧客数が世界で約5万3000社に達し、そのうち数千社は日本企業であることが明らかにされている。
津坂氏によれば、生成AIに関してはマクロ的な動きがあるのはもちろん、個人レベルの働き方も根本的に変わってくるという。
「この40年間PC、モバイル、インターネットとテクノロジーによる変革がありましたが、生成AIはさらにその変化を加速させ、我々の働き方にも変化をもたらすものだと考えています。マイクロソフトは今から数十年前に『世界中の家庭にPCを』と言いましたが、今は日本中、世界中の皆さまにAIが入ったプロダクト、Copilotを提供することを目標にしています」(津坂氏)
同氏曰く、Copilotは、クラウド上に集約したデータをベースに「業務を支援する使い方」と「企業競争力の向上と差別化を実現する使い方」があるという。では、実際に金融業界ではどのような活用方法が考えられるのだろうか。