商品情報管理(PIM)ソリューションを提供しているContentservは3月11日、事業戦略説明会を開催した。日本およびアジア太平洋地域担当マネージングディレクターの渡辺信明氏は、「顧客情報は注目を集めているのに、商品情報は手が付けられないのはなぜだろうと思っていた。商品情報が整備されていない状況が問題として顕在化すると考え、Contentservを設立した」と語った。
PIM市場の現状
渡辺氏は、PIMについて「CRMと目的が似ており、CRMの製品情報版」と説明した。正確には、PIMとは「商品情報を⼀元管理、360度見える化し、商品情報を基にブランド力や購買体験、顧客満足度を高める仕組み」である。
この10年間、企業は顧客情報の活用に投資をしてきたが、商品情報は 縦割り組織でバラバラに管理されているという。そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大により、「企業はデジタルのタッチポイントだけでビジネスを完結しなければならなくなり、商品情報の問題が露呈した」と、渡辺氏は指摘した。
商品情報の問題とは、部門や人単位など属人的なデータ管理が行われて、部門をまたがるデータ共有ができていないため、カスタマージャーニーに応じた情報提供ができないことを指す。
加えて、企業では取り扱う商品や販売チャネルの増加とともに、ESGやパーソナライズのニーズが増えており、渡辺氏は「PIMはミッションクリティカルな情報としてとらえられるようになってきている」と述べた。
Contentservが提供するPXM
ガートナーは、PIMとデジタルアセット管理(DAM)を包含する概念として商品体験管理(PXM)を定義しているが、渡辺氏はPIMとあわせてPXMも提供している点が強みだと述べた。
同社のソリューションでは、商品情報を一元的に集め、エモーショナルなコンテンツを生成して、さらに他のシステムと連携する。同社のソリューションは主要機能として、ダッシュボード、商品情報管理、デジタルアセット管理、検索を備えている。
そして、渡辺氏は「もう一つ重要な機能が加わった」として、Shoppingfeedの買収について触れた。これにより、ContentservにDSA(デジタルシェルフアナリティクス)が加わった。
「コンテンツサプライチェーンにおいて、これまではデータが届いて終わりだった。しかし、コンテンツが届いたあとにどんなコンテンツか受け入れられるのかなどを分析するPDCAの仕組みが欲しいと思っていた」(渡辺氏)
さらに、渡辺氏は「DSAが加わり、競合分析まで含めてマーケットのクローズドループを回せるようになった。われわれが目指したいのはコンバージョン、売り上げが上がることであり、その土台を提供するのがPIM」と、Shoppingfeed買収のメリットをアピールした。
PIMにおける生成AIの活用
昨今、ITツールにAIが組み込まれていることが当たり前位になりつつあるが、Contentservにも生成AIが活用されている。具体的には、以下の4点に生成AIが用いられている。
- UIのガイダンス
- 商品属性の自動生成
- データマッピングの自動化
- パーソナライズドコンテンツ
上記4点のうち、パーソナライズドコンテンツが「最も売上に貢献できる」と、渡辺氏は述べた。顧客のプロフィールやジャーニーマップに最適な商品コンテンツを自動で生成する。
今後の戦略
渡辺氏は今後の戦略として、「アジアで1番のPIMベンダーになること」「パートナーエコシステムの強化」を挙げた。
日本の成功事例をアジアに展開していくため、昨年4月にシンガポール支店を開設し営業を開始した。一方、急成長しているインドでは最先端の事例が出てきており、「アジアのベストプライスを日本に逆輸入できる仕組みを整えたい。そのためのコミュニティも作りたい」と、渡辺氏は意気込みを見せていた。
また、日本のソフトウェアビジネスにおいてはパートナーエコシステムが重視されているが、同社もその例に漏れない。同日、電通デジタルとのパートナーシップの締結が発表された。
電通デジタルは、企業のDX(デジタル変革)推進において、ContentservのPIMとデジタルアセット管理(DAM)統合ソリューションを活用することで、商品情報の一元管理と販売チャネルへの迅速かつ適切な情報連携を実現し、業務効率化および顧客体験価値向上を推進する構えだ。
最後に、渡辺氏は「商品情報は顧客接点のラストワンマイルになる。商品情報も商品の一部であり、商品情報を制する企業がビジネスに成功するといっても過言ではない」と述べ、あらためて商品情報の重要性をアピールした。