Snowflakeはこのほど、移行に関する説明会を開催した。企業はどのような背景からSnowflakeに移行し、また、移行に際してどのようなことが課題となっているのだろうか。

Snowflakeに移行する背景

執行役員 プロフェッショナルサービス&トレーニング本部長 並木知己氏は、Snowflakeに移行する背景として、社内および社外にわたるデータ共有に対するニーズの増加、データのサイロの解消、TCOの改善、利用中の製品の販売・サポート終了(EOL/EOS)を挙げた。

ユーザーは、オンプレミスのデータプラットフォームからクラウドベースのSnowflakeに移行することで、データサイロの解消、TCOの改善、EOL/EOSへの対応を期待しているという。

また、クラウドベースのDWHからのマイグレーションにおいては、パフォーマンスの改善、データ共有の実現、Data Marketplaceを活用したデータ連携を期待しているという

  • Snowflake執行役員 プロフェッショナルサービス&トレーニング本部長 並木知己氏

競合製品からの移行の状況

並木氏は、Snowflakeへの移行を検討する企業が抱えている悩みとして、「パフォーマンスが期待通りではない」を挙げた。加えて、「製品の使い勝手がよくない」こともあり、その点、「Snowflakeはユーザーインタフェースが簡単で、使いやすいと評価してもらっている」と、同氏は話した。

移行元の環境は、現状は、クラウド環境よりもオンプレミスが多いという。もともとデータベースのシェアが多いことからOracle製品が多いとのことだ。

クラウド環境からの移行はここ1、2年で増えており、Amazon Web Services、Azure Synapse Analytics、クラウド上のSQLサーバなどからの移行が見られるという。

Snowflake移行時の課題と解決策

並木氏は、Snowflakeに移行する際の課題としては、以下の3点を挙げた。

  • 現行機能の実現
  • Snowflakeを最適に活用するためのベストプラクティス
  • 大量のソースコードの変換作業

「現行機能をいかに実現するかは最初の壁」と、並木氏は述べた。同氏によると、機能要件以上に、非機能要件の実現が重視されるという。例えば、バックアップにかかる時間の場合、Snowflakeであればバックアップは不要だという。

また、ソースコードの変換については、より少ないコードで実装するような仕組みになっているという。同社は、移行に関するサービスとして、「Expert Assistance by Professional Services」を提供しているが、その中に、SnowConbertツールによるコードアセスメント、コード変換サービスが含まれている。

同サービスでは、データモデリング適用や処理最適化支援によるパフォーマンスの改善、フェーズに応じたベストプラクティスの提供なども行う。

  • 「Expert Assistance by Professional Services」の概要

Snowflake移行のポイント

並木氏は、移行のカギとして、「移行の体制を整備すること」「エクスピリエンスを十分に持つこと」を挙げた。

移行するテーブル数の多さがボトルネックになると考える人もいるかもしれないが、テーブル数はあまり問題にならず、ツールを使えば数分で変換できるとのこと。

ただし、処理系のソースコード、プロシージャーやファクションなどの複雑性や数はコストに影響するという。

こうした点から、「コードアセスメントを実行して、自社の環境を正しく知ることが大切。アセスメントにより不安を払拭する、もしくは、不安を持ってもらいたい」と並木氏。

アセスメントで提供するレポートでは、テーブル、ビュー、プロシージャー、ファンクションの数とコンバートできる割合の評価が提供される。

並木氏はSnowflakeに移行した顧客として、デジタルマーケティングツール「b-dash」を提供しているデータXを紹介した。同社は移行したことで、パフォーマンスを改善するとともに、コストも削減したという。これらは「b-dash」のスピードにも貢献しているそうだ。