NTTデータは1月26日、X(旧Twitter)データを使用した発見型トレンド予測サービスである「トレンドエクスプローラー」を提供開始した。これによりユーザー企業のマーケティング活動を伴走型で支援し、より高精度に生活者の価値観やニーズを導くインプットデータの種類を拡充しつつ、5年間で売上100億円を目指す。

  • トレンドエクスプローラーの概要

Google Cloudの生成AIを活用

新サービスは、同社がXの全量データを受領し確立してきたというデータ分析手法と、Google Cloudの生成AI(人工知能)を使用する。

国内月間4500万のXアクティブ・ユーザーにおいて、食、旅行、美容など約30カテゴリの中から、2000万以上のモノ・コトのキーワードを常時モニタリングし、流行や価値観の変化の兆しを抽出してその背景・理由を可視化する。

さらに、カスタマー・サクセスを通じて初期段階から意思決定プロセスに至るまでをサポートする。これらを通じて、商品開発やプロモーション戦略などのマーケティング業務における競争優位性を築くための新しい切り口を提供するという。

新サービスの5つの特徴

例えば商品開発では、新しい商品アイデアの創出や、既存商品の改善点の特定を可能にし、プロモーション戦略においては、新しい顧客層へアプローチするためのタイアップ候補の発掘を可能にするとしている。

同サービスの特徴として同社は、1)膨大なデータ量から多様なジャンルの生活者トレンドを発見、2)トレンド候補として抽出した理由・背景を深堀し可視化、3)トレンドの未来を高精度で予測、4)新商品のコンセプト案を自動生成、5)ニーズ別にトレンド候補を提案するカスタマー・サクセス、の5点を挙げる。

生活者トレンドの発見については、同社がX上の投稿を自然言語解析して、食、旅行、美容などの約30のカテゴリに分類したキーワードを常時モニタリングし、投稿量の上昇傾向や、情報感度が高いユーザー層の反応率などからトレンド化の兆しが現れたモノ・コトを自動で抽出する。

また、それらが成長期なのか減退期なのかフェーズで識別することで今どのフェーズにいるかを理解することが可能としている。

トレンド候補の抽出理由・背景の深堀と可視化に関しては、発見したモノ・コトとその投稿に対して、同社の言語解析技術とGoogle Cloudの生成AIで解析することで、特徴的なキーワードの中からその背景要素を抽出する。

この背景を読み解くことで、思考の幅を広げ、新しいアイデアや仮説立てに役立てられるという。

トレンドの未来予測に関しては、Google Cloudの機械学習サービスを統合したプラットフォームであるVertex AIによる、過去2年分の投稿量推移データの分析を行うことで、対象トレンドへの関心が前年比で上昇・維持・下降するか、当月比で上昇・維持・下降するか、70-80%の高精度で予測するとのこと。

  • コンセプト案のイメージ

新商品コンセプト案については、生成AIを使用し、トレンドとその背景要素を踏まえた新商品コンセプトやプロモーションの企画資料を自動作成する。これによりコンセプト案を複数作成することで、意思決定における選択肢を増やすとしている。

カスタマー・サクセスに関しては、トレンド候補検討フェーズから新商品コンセプト案の採用を意思決定するプロセスまで、一貫して支援するカスタマー・サクセスも合わせて提供する。

ユーザー企業が関心のあるカテゴリをヒアリングし、トレンド候補を抽出した後、業種・業態・ニーズに即したコンセプト案を提案するとのこと。

なお同サービスはβ版として、2023年から大手消費財メーカーや小売業の企業に試行的に導入しており、商品開発や販促プロモーションといった業務において、売上向上や業務改善に寄与しているという。