ジェーシービー(JCB)、りそなホールディングス、ベスカの3社は1月10日、デバイス間通信技術を用いてスマートフォン操作が不要な新しい決済体験の構築を目指す取り組みである「タッチしないタッチ決済」プロジェクトに関する戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

  • 検討するソリューションのイメージ

タッチしないタッチ決済とは?

タッチしないタッチ決済とは、BLE(Bluetooth Low Energy)やUWB(Ultra-Wide Band)などの通信技術を用いて、来店客が持っているスマートフォンと店舗に設置した決済端末や各種IoTデバイスとの連携により、利用客がスマートフォンの取り出しや画面起動といった操作を行わず、決済手続が完了できるというもの。バッグやポケットにスマホを入れたままでも、認証から決済手続完了まで行う新たな決済体験を構築していく。

また同ソリューションにより、希望する利用客には店舗来訪時点で情報を把握し、過去の購買履歴やその瞬間に興味を持って見ている商品に応じた顧客サービス(VIP向けサービスや優待・クーポン配信など)を提供するなど、新たな店舗内体験の実現を目指す。

BLEやUWBといった高精度でデバイス位置特定を可能とする通信技術は、日常生活に身近で役立つものとなっているといい、自動車向けのデジタル・キーとしての利用など、今後さらなる利用普及が見込まれるという。

同プロジェクトでは、新たな決済ソリューションとしてBLEやUWBなどの通信技術等を用いることで、決済時のスマホ操作にかかる消費者側の手間・負担を軽減した新たな決済体験の構築を目指す。

今後の活動予定

今後の活動は、2023年度は新決済ソリューションにおける提供機能やユースケースの具体化および、システム構築に向けた初期検討やBLE・UWB技術ベースでのPoC(概念実証)実施準備を予定している。

2024年度以降は、1)実店舗を用いた、本番環境に近い環境下でのPoC実施・評価、2)提供機能の磨き込みに向けた、新たな協業パートナー候補の探索・議論、3)決済以外の、店舗向け付加価値サービスの検討の3点を、現時点では予定する。

同ソリューションは、生体認証ソリューションとの組み合わせによる利用も視野に入れているという。

生体認証における1:N認証で指摘されている認証精度・処理速度といった課題に対して同ソリューションを利用することで、対象を事前に絞り込んだ認証とし、生体認証の処理精度向上や高速化、システムの簡素化といった相乗効果の実現を図るとのこと。

なお、同プロジェクトに関連してJCBは、今後のキャッシュレス決済の拡大を見据え、利用客の決済体験をより向上させるモデルや、店舗での付加価値提供がより重要になると考え、これら課題への解決策となりうるモデルの具体化検討を踏まえ、複数の特許を出願中という。