国産3号機の超伝導量子コンピュータが稼働

大阪大学、理化学研究所、情報通信研究機構(NICT)、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、イーツリーズ・ジャパン、富士通、日本電信電話(NTT)、キュエル、QunaSys、セックらの共同研究グループは12月20日、国産では3号機となる超伝導量子コンピュータのクラウドサービスを開始することを発表した。

共同研究グループは量子コンピュータを超伝導量子ビットにより構築し、クラウド経由で利用できるサービスとして公開した。これにより、研究者が遠隔地から量子アルゴリズムを実行したり、ソフトウェアの改良や動作確認をしたりできるようになった。

この量子コンピュータシステムは、現在42機関が参画している「量子ソフトウェアコンソーシアム」のグループワークに参加する受講者を対象にサービスを開始する。量子コンピュータのユースケース探索をはじめ、ユーザのニーズや意見を反映しながらシステムを改良していくという。

  • クラウドサービスの全体像

    クラウドサービスの全体像

3号機はできるだけ国産部品を使用

今回サービスを開始した3号機は、初号機で海外製の部品が使われていた部分をできるだけ国産部品に置き換えており、「テストベッド」としての役割を果たしている。研究グループは冷凍機以外の多くの部品を置き換えても、十分に高い量子ビット性能を引き出せるとしている。

また、3号機では量子コンピュータの活用性を高めるため、制御装置やシステムを改善している。量子ビットを制御するために必要となる制御装置は、設計および開発を大阪大学とイーツリーズ・ジャパンが行った。

共同研究グループは量子コンピュータに必要なさまざまなレイヤのソフトウェアを開発し、量子コンピュータを研究室内部で利用する実験装置ではなく、システムとして外部へ提供できるようにしたとのことだ。

  • 量子ビットチップのインストールは一般公開された

    量子ビットチップのインストールは一般公開された