キユーピーと安川電機は、多品種の容器に対応した惣菜盛付工程の自働化を目指し2022年12月から進めてきた共同開発の第一弾として、キユーピーグループのデリア食品の生産ラインに「惣菜用ふた閉めロボット」を導入し、2023年11月末から実運用を開始したことを発表した。

生産工程の自動化に挑むキユーピー

キユーピーグループは生産現場で課題となっている人手不足の解決に向けて、さまざまな自働化に取り組んでおり、特に人手を要する工程が多い惣菜の生産現場を中心に共創を進めてきた。

総菜の生産現場の中でも多品種に対応したふた閉め工程は、自働化の難易度が高いとされてきた。従来から数種類のふたに対応したふた閉め装置は販売されていたものの、惣菜は商品の入れ替えが多く、短期間で容器変更が必要になることもあり、新容器に対応するための装置の設定に時間がかかるなど人手に頼らざるを得ない状況が続いていたという。

多品種に対応した惣菜用ふた閉めロボットを開発

そこで、2022年12月よりキユーピーは安川電機とふた閉め工程自動化に向けた共同開発を開始。「多品種容器対応」「人の作業スピードと同等性能」「作業者にやさしい操作性」の3つを開発コンセプトとして掲げ、安川電機からはロボット自働化に関わる知見を、キユーピーグループからは生産・品質の知見を持ち寄ることでコンセプトに沿った技術開発が実現したとのこと。

開発されたロボットは、60品種以上のふた容器に対応し、自働的に容器に合ったふたサイズへの切り替えが可能となっているほか、作業熟練者と同等の毎時1300パックの作業スピードと動作の正確性・確実性を再現することにも成功。加えて多言語に対応しており誰でも使うことができるようになっているという。

  • 「惣菜用ふた閉めロボット」実運用の様子

    デリア食品の生産ラインで稼働する「惣菜用ふた閉めロボット」の実運用の様子。手前に積み上げた容器のふたをロボットアームが取り、惣菜の容器に押し付ける様子と、ロボットアームが上がりふた閉めが完了した様子が写し出されている (出所:キユーピー)

なおキユーピーでは、生産現場において今回実運用を開始したふた閉め工程だけでなく、原料のひょう量や惣菜の盛り付け、商品の積み付け、生産計画の策定など、多くの工程で自働化できる可能性が残されているとしており、グループとして今後も食品製造における業務自働化技術の開発を進め、食品工場全体における生産性の向上と人手不足への対応を推進していきたいとしている。