GMOインターネットグループ代表・熊谷正寿「リアルなコミュニケーションは組織にとって大きな差別化の要素になる」

今はインターネット産業革命の折り返し地点

 ─ 1991年の創業から32年が経ったわけですが、熊谷さんはこの約30年をどのように受け止めていますか。

 熊谷 約30年前にインターネットと巡り会いまして、今の会社を興しました。それで営業を開始したのですが、当時は誰もインターネットが産業革命なんて信じてくれなくて、孤軍奮闘していた雰囲気がありました。

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 しかし、振り返ってみると、やはり自分が思っていた予想が当たって、インターネットが産業革命であることは間違いありません。過去の歴史を見ると、産業革命は平均すると55年続いておりますので、そういう意味では、ちょうど去年の2022年が折り返し地点です。

 当社がインターネット事業に本格参入したのは「Windows95」が出てきたのと同じ1995年でした。55年割る2は27.5ですから、1995年から数えると2022年の半ばがまさに折り返し地点ということですね。

 ─ なるほど。インターネットの折り返し地点で、今では上場子会社9社(本体を含めて全10社)を抱えるグループに成長したわけですね。

 熊谷 ええ。われわれの精神安定剤は成長し続けることであり、ベンチャーにとっては成長が唯一の癒しなんですね。

 だから、われわれにとって、成長が止まることが一番つらくて、成長していることが一番の癒しであり、次なるモチベーションのエネルギーになる燃料なんですね。だからこそ、成長あるべきだと思っています。

 ─ コロナ禍の3年間では、働き方改革もかなり進みました。GMOインターネットグループでは、2月から〝週3日出社・週2日在宅勤務〟としていた勤務体系を原則出社に切り換えましたね。改めて、この狙いは何でしたか。

 熊谷 コロナが始まった2020年1月から、わたしどもの規模の会社としては、おそらく国内で一番早く在宅勤務にシフトし、効果を実感しました。そこから社員にアンケートをとったりして、徐々にコロナが収束に向かってくる中で、最終的に出てきた結果がやはり、出社の方がいいということです。

 これは決してリモートワークを否定するものではなく、計画的に武器として使うなら、これ以上のものはないわけです。わたしが否定しているのは無秩序なリモートワークです。

 何か権利を主張するためのリモートワークみたいなことになると、企業の生産性を大きく下げることになりますし、武器として計画的に使えるリモートワークは、パートナー(従業員)のQOL(生活の質)を上げ、最終的に生産性アップにつながります。

 そういうことで、今は出社ありきは正しいと思っています。

 ─ これはやはり、対面で表情を見るとか、そういうリアルなコミュニケーションが大事だということですか。

 熊谷 仰る通りです。リアルとリモートワークでは、目を見てお話することによる決定力や徹底スピードが全然違います。組織は日々戦っているわけですから、リアルなコミュニケーションは組織にとって大きな差別化の要素になると思います。

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