ディー・エヌ・エーの子会社であるアルムは11月27日、国立がん研究センター中央病院と共に、居住地域によらず全国どこであっても標準的な専門医療を受診できるよう医療技術の格差是正を図る、がん治療の均てん化に向けたD to D(Doctor-to-Doctor)オンラインコンサルテーションの臨床研究を開始したことを発表した。

近年のがん医療は高度化と複雑化が進み、がん領域の専門的知識を有する専門職の重要性も増している。その一方で、人口100万人当たりにおけるがん領域の専門医数は、都道府県別に見ると、最上位と最下位で約9.6倍の差があるなど医療格差に課題がある。

その背景として、地理的理由から遠方の医療機関へのセカンドオピニオンが難しい、増加するセカンドオピニオンの要望に対して対応できる医師が限られている、相談料や交通費、検査・診療データ収集のための手間や費用がかかる、といった要因が挙げられる。

そこで今回の臨床研究では、地方の協力医療施設のがん診療医師と国立がん研究センター中央病院の医師を、アルムが提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」でつなぎ、医師間のコンサルテーションを実施する。

両社はこれにより、D to Dオンラインコンサルテーションの臨床的意義について、治療成績の改善および医療費・個人負担費用の最適化と、患者の満足度を調査するという。

アルムが提供するJoinは、医療関係者がコミュニケーションを取れるアプリサービス。標準搭載されたDICOMビューワーで医用画像を閲覧でき、データをチャットに共有することで、夜間休日などに院外にいる医師へのコンサルテーションツールとして活用できる。また、救急患者の転院時の病院間連携や情報共有などにも使われるとのことだ。