リコーは、同社の植物由来新素材「PLAiR(プレアー)」の成型加工用シートを使用して作った容器がイトーヨーカ堂に採用され、11月16日からイトーヨーカドー 横浜別所店の店頭にて、同容器に入った食品を販売する実証実験を行うことを発表した。
気候変動や廃棄物による環境汚染が社会問題となっている昨今、化石資源由来プラスチックから代替素材への転換の重要性が高まっている。そうした中でリコーは「脱炭素・循環型社会の実現」を同社のマテリアリティ(重要社会課題)として掲げており、そのソリューションの1つとして代替素材になりうるPLAiRの開発に取り組んでいるとのことだ。
同素材の特徴としては、植物由来のPLA(ポリ乳酸)を主成分としており、焼却処分時のCO2排出量を、原料植物の成長時におけるCO2吸収量でオフセットできる点がある。さらに、一定の環境下において水とCO2に分解されるコンポスタブル(生分解性)という特性も持っているとする。
また、リコー独自の「超臨界CO2発泡制御技術」でPLAiRを発泡させて柔軟性や強度を調整することで、軽さと強さを両立させるとともに、少ない材料でシートを作ることができるため省資源性に優れているとのこと。加えて、発泡によって生じた空気層により断熱性に優れることから、熱い食べ物を入れても手で持つことができ保冷・保温にも適している上、結晶化の度合いを制御して優れた耐熱性を付与することで、電子レンジでも加熱可能(100℃以下の食品の場合)だとしている。なお同社によるとこれまでには、緩衝材や梱包材から容器などの加工品まで、さまざまな用途での活用可能性を検証してきたという。
イトーヨーカ堂ではこれまで、リサイクル・バイオ素材などの環境に配慮した容器を採用することで、プラスチック問題に取り組んでいた。しかし、より大きく環境負荷を低減できる素材の活用を検討していたといい、今般のPLAiRを用いた実証実験に至ったとのことだ。
今回の実証実験では、「まごころたまごのロースかつ重」にPLAiRを使用した容器が採用されるといい、電子レンジでの加熱も可能(500Wで1分)だとする。同実証実験における販売期間は、11月16日から12月14日までを予定しているという。
なお同素材の成型加工シート開発および食品容器への加工・供給にあたっては、イトーヨーカ堂、リコーのほか、小売業界向けの容器や食材などの原材料供給に強みを持つベンダーサービス、バイオプラスチックを活用した食品容器の開発・製造を得意とするリスパックらの共創パートナーと共に検討を進めてきたとのことだ。
リコーは今後も脱炭素・循環型社会の実現を目指し、「安心して使える」が当たり前の未来に向けて、新素材であるPLAiRの開発を進めていくとしている。