日立製作所は10月31日、「Lumada」の競争サイクルにおけるデジタルのケイパビリティやバリューチェーンの強化とともに、エネルギー、交通、産業などのOT(制御・運用技術)分野とのシナジー創出をさらに加速するため、グローバルで組織を再編することを発表した。
今回、2023年11月1日付で米国子会社であるHitachi Vantaraのデジタルソリューション事業を分社化し、新たに「Hitachi Digital Services」を設立し、CEOにはロジャー・レヴィン氏が就任。
また、2024年4月1日付でHitachi Vantaraのデジタルインフラ部門(販売・サービス)が、日本国内においてデータインフラストラクチャに関する事業開発・研究開発・生産を担ってきた日立製作所のITプロダクツ事業部門(製造・開発)を「日立ヴァンタラ」に適格再編により、吸収分割する。
この発表に伴い同社は、「OT×ITのシナジー強化に向けたグローバル組織再編」というテーマで説明会を開催した。説明会には、日立製作所 執行役専務 クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット CEOの阿部淳氏、レヴィン氏、Hitachi Vantaraおよび日立ヴァンタラの新CEOを務めるシーラ・ローラ氏、島田朗伸氏が登壇し、再編の概要や狙いを語った。
生成AIの登場でかつてないパラダイムシフトが起きている
Hitachi Digital Servicesは、クラウド、データ、IoTを駆使したサービスをベースに、OT×ITを実装するインテグレーターとして、各業種へデジタルの価値を提供し、日立独自のシナジー創出を牽引していく存在として設立されている。
今後は、クラウド、データ、IoT、マネージドサービスを一体的に提供するとともに、日立デジタルの戦略のもと、エネルギー、鉄道、産業などOT分野のドメインナレッジとデジタルケイパビリティとのさらなる融合に向け、OT×ITを実装するインテグレーターとしての役割を担っていくという。
日立ヴァンタラとHitachi Vantaraの両者は、経営陣による双方のマネジメント関係を強化し、新生Hitachi Vantaraとして製造・販売・サービスの一体運営の体制を確立することで、投資・開発を加速したい考え。加えて、強い統一ブランドのもとハイブリッドクラウドストレージや、生成AI共通基盤を提供することで日立のテクノロジー戦略を支えていきたい方針だという。なお、今回の組織再編で対象となる社員は1万人規模、売上高ベースでは5000億円規模になっているという。
このように大きな組織再編を行う日立だが、その狙いとしては「生成AI」の存在が大きいと阿部氏は語る。
「生成AIの登場により、かつてないパラダイムシフトが起きています。加速度的に成長を続ける生成AIの活用において、その燃料になるのはデータです。爆発的に増大するデータを蓄積するためのデータインフラストラクチャは、今後さらに需要が高まっていくと予想されています。今回の再編は、そのデータを効率的に活用していくために、デジタルのケイパビリティを活かし、さらに伸ばすことを目的としています」(阿部氏)
三本柱で海外ITサービス事業「1兆円」を目標に
今回の組織再編は、Lumada事業の強化にも一役買っているという。Lumada事業とは、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称のことを指す。
以下の図は、Lumada事業の共創サイクルを表している。
日立は、GlobalLogicを買収したことにより、デザインやデジタルエンジニアリング起点の共創サイクルを獲得し、リカーリングビジネス(継続課金から得られる経常収益に頼るビジネスモデル)へシフトすることで、収益性を高めてきたという経緯がある。
この共創サイクルが成長を続けていくためには、「グローバルで上流から現場に実装し落とし込む」というピースが必要であると考えていたそうで、それを今回の再編により強化することができたのだという。
今後は、「Hitachi Digital Services」「新生Hitachi Vantara」「GlobalLogicとの連携」という三本柱で、海外ITサービス事業1兆円を目標に事業展開を行っていく方針。「海外でどこまで存在感を出しいていけるか」ということを意識しながら、デジタル事業の基盤強化を推進していきたい構えだ。
最後に、Hitachi Digital ServicesのCEOに就任するレヴィン氏は以下のようにコメントを寄せた。
「Hitachi Digital Servicesは、ITとOTのインテグレーションにフォーカスしている企業です。これからは、内部の業務効率化およびお客さまのビジネスの業績のため、インドやポルトガル、イギリス、アメリカなどの拠点でAIを活用していきたいと考えています」(レヴィン氏)