パナソニック ホールディングス(HD)が30日に発表した2023年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期の2.7倍の2884億円となり、同期における過去最高を更新した。これまでの上期最高益は、2013年度の1693億円だった。

戦略投資などの固定費の増加や原材料高騰の影響はあったが、為替の影響に加え、車載電池事業に対する米国インフレ抑制法(IRA)に係る補助金の計上などにより増益となった。また、液晶パネル生産撤退に伴い解散した子会社の「パナソニック液晶ディスプレイ(PLD)」の債権放棄による法人所得税費用の減少があったことも増益に寄与した。

売上高は前年同期比1%増の4兆1194億円、営業利益は29%増の1928億円だった。事業別にみてみると、自動車関連の製品や技術を開発・生産・販売する「パナソニック オートモーティブ」と、法人向けにシステム開発を手掛ける「パナソニック コネクト」などが好調だった。

オートモーティブの売上高は20%増の7082億円で、自動車生産の回復が大きく増収となった。営業利益は、増産対応や人件費高騰による固定費増加や、部材高騰の影響はあったが、増販益に加え部材高騰分の価格改定やコストダウンを進めることで153億円の黒字(前年同期は125億円の赤字)となった。

コネクトの売上高は7%増の5521億円だった。世界中で新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せたことにより、航空機向けエンターテインメントシステムの需要が回復した。営業利益は104億円の赤字から162億円の黒字へと転じた。

一方で、電子部品などの開発を行う「パナソニック インダストリー」は、ICT分野や中国市場向けの市況悪化に加え、半導体事業譲渡に伴う商流変更の影響を受け減収・減益となった。売上高は14%減の5104億円、営業利益は73%減の132億円だった。

1株あたりの中間配当は、前年度から2.5円増配の17.5円で決定した。パナソニックHDの同期末における総資産は9兆1251億円となり、前年度末に比べ1兆656億円増加した。一方の負債は、前年度末に比べ3764億円増加し、4兆6460億円となった。

24年3月期通期の見通しについて、同社は売上高と営業利益を従来予想から、それぞれ1000億円、300億円下方修正した。くらし事業やインダストリーにおける市況悪化などを反映し、売上高は前期比微増の8兆4000億円、営業利益は39%増の4000億円を見込む。純利益は73%増の4600億円と、金融収支の良化を反映し従来予想から据え置いた。