パナソニック コネクトと中央大学理工学部の梅田和昇教授が率いる研究チームは10月19日、米国で10月1日(現地時間)から開催したIEEEの国際会議において、ロボット・ハンド制御技術に関する共同研究の成果を、また9月11日から14日に仙台で開催した「第41回ロボット学会学術講演会」において、「接触点の予測に基づく画像を用いたIn-Hand Manipulation」を、それぞれ発表したと発表した。

  • ハードウェア構成

これらの研究成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果、得られたもの。ロボット・ハンドによるインハンド・マニピュレーションでは、特に姿勢変更のために対象物をハンド内で回転させる際、対象物の形状や姿勢によっては、掴み続けることができずにハンドから落下させてしまうという課題があったという。

その解決に向け、カメラ画像を基に接触点がいつ切り替わるのかを予測し、その前後において対象物の回転速度が最も遅くなるようにベルトを制御することで、幅変化を抑えること、また次の時刻における対象物の位置や姿勢を予測し、次の時刻で必要となる幅の分だけフィンガを制御することで遅延の影響を低減することの2つのアプローチを行った。

  • 新技術の応用イメージ

  • 新技術の応用イメージ

新技術は、目指す製造・物流・流通などサプライチェーンの現場への貢献が見込まれ、とりわけこれらの現場で扱う物のピック・アンド・プレース作業への活用を想定している。置いた物をロボット・ハンドでピックし、インハンド・マニピュレーションを行うことで、姿勢を変えた状態でのプレースが可能になる。

物の姿勢を変える動作が必要な現場の一例として両者は、製造における部品組立作業を挙げる。部品をピックし組立可能な姿勢に変更した後に、相手側の部品にプレースする作業を実現できる。

また物流現場では、倉庫や青果場での箱詰めやパック詰めに応用可能といい、多様な形状の物を整列させて箱内に配置することで、高密度な箱詰めが可能になるとしている。 形状に個体差がある青果などでも、カメラ画像から個体ごとの形状をリアルタイムで検出し、各個体に合わせた制御が可能としている。現状は人手でパック詰しているこれらの物も、ロボットにより整列配置でき、集荷場などでの自動化への貢献が期待できる。

さらに、小売店舗などの流通現場においても、商品陳列などの物を決まった姿勢で並べる作業への応用を見込めるとしている。