日立ビルシステム、日産自動車、日立産機システムは、軽電気自動車(EV)からの給電により、マンションやビル向けの自動給水ユニットを稼働させるV2Xシステム普及のための実証実験を実施したことを発表した。
近年多発する自然災害を踏まえ、その影響で停電が発生した際にも社会生活を継続できるようにするための対策に注目が集まっている。そうした中で日立ビルシステムは、EVをビルの非常時電源として活用できる可能性に着目。停電時にEVと建物をつなぎ、電力の相互供給を行うことを可能にするV2X(Vehicle to X)技術により、EVからエレベーターに給電を行い、継続利用を可能にするシステムを開発し2023年7月に発売を開始している。
そして今回、停電時にマンションで水道が使えなくなる問題を解決するために、マンション・ビル向け自動給水ユニットを製造する日立産機システムも協創に加わり、日産の軽EV「日産サクラ」のバッテリーを使用して自動給水ユニットを動作させるという、V2Xシステムの普及に向けた第3弾の取り組みとして実証実験を行ったという。
具体的な実証実験の内容としては、日産サクラのバッテリーをフル充電状態から、外部給電が可能なバッテリー残量10%まで利用し、日立産機システム製の自動給水ユニット「ダイレクト・ウォータエース」を稼働させ、EVのバッテリーが放電限界を迎えるまで給水を実施。その結果、連続稼働時間は1時間31分で、2万1171リットルの給水を実証したとする。これは8468人分の1日の水分摂取量、またはトイレ4234回分の水量に相当するという。
なお、3者は今回の実証実験結果を踏まえV2Xシステム対応の自動給水ユニットの詳細仕様の検討を進めていくほか、V2Xシステムの普及に向け取り組みを推進していくとしている。