浜松ホトニクスは10月10日、インジウム(In)・ガリウム(Ga)・ヒ素(As)を材料とし、近赤外光に感度を持つエリアイメージセンサに独自の回路設計技術を応用することで、ハイパースぺクトルカメラ向けの従来製品と比べて、読み出し速度とダイナミックレンジを約2倍に高めた「G16564-0808T」を開発し、11月1日より販売を開始することを発表した。

  • 浜松ホトニクスが開発したInGaAsエリアイメージセンサ「G16564-0808T」

    浜松ホトニクスが開発したInGaAsエリアイメージセンサ「G16564-0808T」(出所:浜松ホトニクス)

昨今の市場では、プラスチックのリサイクルのみならず、果物の水腐れをはじめとする食品選別や薬の成分分析などに向け、従来製品とは形状が異なり、さらなる高速読み出しが可能でダイナミックレンジ(識別できる光の強さの最小値と最大値の比率)の高いエリアイメージセンサが求められている。

  • ハイパースぺクトルカメラによる測定イメージ

    ハイパースぺクトルカメラによる測定イメージ(出所:浜松ホトニクス)

浜松ホトニクスは、難燃性樹脂を含むプラスチックと一般的なプラスチックを鮮明な画像で選別可能なハイパースぺクトルカメラの実現に向け、InGaAsを材料とし、波長2.55μmという長い波長の近赤外光まで検出するエリアイメージセンサの開発・製造・販売を行っている。

  • ハイパースぺクトルカメラによる測定結果

    ハイパースぺクトルカメラによる測定結果(出所:浜松ホトニクス)

そして今回同社は、イメージセンサの読み出し回路の設計を見直したとのこと。同回路にデコーダ回路を採用することで、電気信号の読み出し速度を約2倍まで高めたという。加えて、信号処理回路をディプレッション型とし、しきい値電圧を下げて電流を流れやすくすることで、ダイナミックレンジも約2倍まで向上させたとする。

また同時に、回路設計の工夫によって、特定の波長の光による信号だけを読み出すマルチライン読み出し機能を追加。これにより選別対象が反射しやすい波長の近赤外光だけを読み出すことができ、読み出し速度の高速化に寄与するとしている。

浜松ホトニクスは、これらの性能向上を実現した新製品を、プラスチックリサイクルや食品選別、薬の成分分析用途向けのハイパースぺクトルカメラに組み込むことで、プラスチックリサイクルにおいては従来と同じ時間で大量の選別が可能になるとともに、選別精度の向上も期待できるとのこと。また食品・医薬領域をはじめ、コンクリートや住宅建材の劣化、紙のリサイクルなど、より広い分野での応用も期待されるとする。

同社は、脱炭素や人口増加に伴う食料難の対策に必要なツールとして新製品を拡販することで、持続可能な社会の実現に貢献するといい、具体的には今後、新製品と駆動回路を一体化したカメラモジュールや、0.95μm~2.55μmまで感度波長範囲を拡大したエリアイメージセンサの開発を進める予定だとしている。

  • 「G16564-0808T」の主な仕様

    「G16564-0808T」の主な仕様(出所:浜松ホトニクス)