石川県南部にある小松市は今、次世代高度技術を活用した物流サービスの構築を目指している。その背景にあるのは、中山間地域の暮らしやすさの向上といった地域課題だ。約4000万円の予算をもってスタートしたこのプロジェクトは、どのように進められているのか。そして、小松市はどのようなまちの姿を未来に思い描くのか。小松市 総合政策部スマートシティ推進課 参事の千葉清二氏と、NEXT DELIVERY 事業G グループ責任者の三浦愛氏にお話を伺った。

  • 小松市 総合政策部スマートシティ推進課 参事の千葉清二氏

  • NEXT DELIVERY 事業G グループ責任者の三浦愛氏

他の自治体事例を参考に、スマート物流導入を検討

千葉氏はまず、「これは他の地域と同様」だと前置きした上で、小松市が抱える課題の1つは、中山間地域と呼ばれるような、市街地と山間部の間にある山あいの地域における生活手段の確保にあると言う。同市内でも、市街地であれば、買い物や通院などに不便はない。だが、中山間地域では人口減少による路線バスの廃止や、高齢者の免許返納などにより、“買い物弱者”が生まれやすくなり、必要なものが届きづらい環境にある。「生活上の不便を放置していては、そこに住もうと思う人が減ってしまうのでは」(千葉氏)という危機感からも、それを食い止める施策が必要なのだ。

「小松市では、その施策の一助にデジタルを活用できないかと考えたのです」(千葉氏)

施策を検討するにあたり、小松市が着目したのが全国新スマート物流推進協議会の動向である。同協議会は全国の自治体や、新スマート物流に関連する企業、団体などで構成されており、新スマート物流の社会実装を通じて、豊かな地域社会づくりに貢献することを目的としている。協議会の理事を務める田路圭輔氏は、次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップであるエアロネクストの代表取締役CEOとして、セイノーホールディングスとドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」の開発を推進。両社はすでにいくつかの地方自治体と提携し、SkyHubの導入に向けた実証実験を行っている。

それを知った小松市も、この取り組みに賛同し、2022年12月13日、セイノーホールディングス、エアロネクスト、KDDIスマートドローンと「次世代高度技術の活用による地方創生に向けた連携協定」を締結。12月21日には早速、小松市において、エアロネクストの子会社にあたるNEXT DELIVERYによるドローン配送の実証実験が行われた。

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