「カラーミーショップ大賞2023」大賞は『かわしま屋』 栄誉つかんだ「愚直なコンテンツ力」とは?

GMOペパボは9月13日、ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」を利用する5万店の中から優秀なショップを表彰するコンテスト「カラーミーショップ大賞 2023」の授賞式を開催した。最高賞である「大賞」を受賞には、オーガニック食品などを販売する「かわしま屋」を選出した。日本全国のこだわりの食品などを、愚直なまでにこだわったコンテンツで光を当て、顧客に届けている姿勢が高い評価を集めた。

今回で9度目の開催となる「カラーミーショップ大賞 2023」では、「大賞」の「かわしま屋」を含む全31ショップが「優秀賞」「地域賞」「ジャンル賞」「特別賞」「にっぽん文化奨励賞」「Amazon Pay 賞」の各賞を表彰した。

▲受賞店の集合写真

一次審査は「カラーミーショップ」利用の全ショップを対象とする「オファー制」を採用している。スタッフによる審査を経て、オファー対象となるショップを選出し、オファーを受けた390ショップをノミネートショップとして公開した。そこから一般ユーザーによる投票を受け付け、その結果を踏まえた最終審査を実施した。

審査の結果、「優秀賞(10ショップ)」とその中から最も優秀な1ショップに贈られる「大賞」をはじめ、「地域賞(7ショップ)」、「ジャンル賞(食品・ファッション・雑貨の3ジャンルの3ショップ)」「特別賞(8カテゴリの8ショップ)」、「にっぽん文化奨励賞(2ショップ)」、「Amazon Pay賞(1ショップ)」の全31ショップの受賞を決定した。

「特別賞」はこれまで同様の「商品賞」「セレクト賞」「デザイン賞」「SDGs賞」「新人賞」に加え、新たに「コンテンツ賞」「コミュニケーション賞」「DX賞」を設け、表彰している。

<大賞の「かわしま屋」はサイト設計、コンテンツが高い評価>

大賞に選ばれた「かわしま屋」を運営するかわしま屋は、2023年3月期には売上高を前期比20%増と伸ばしている。安定した売り上げ成長に加えて、秀逸なサイト設計や継続的に質の高いコンテンツを発信し続けている点が評価され、審査員満場一致で「大賞」に選ばれた。

▲GMOペパボの佐藤健太郎社長(左)から表彰を受けるかわしま屋の河島酉里代表(右)

かわしま屋の河島酉里代表は、「『かわしま屋』を始める前、もう10年以上前ですが、このセルリアンタワー(表彰式の会場)に入っている(GMOグループではない)ベンチャー企業で働いていました。そこで、ひと悶着あり、会社を去らなくてはいけなくなりました。ちょうど子どもが生まれたばかりのタイミングで、子どもを食べさせていくためにも、すぐに働かなくてはいけない状況でした。自分なりに思うところや、ご縁もあり、日本全国の生産者さんが作る優れた食材をネットショップで販売していこうと決意しました」と創業時を振り返る。

そして、河島代表は、「当時からGMOペパボさんが作るサービスの独特の温かみや使いやすさ、トーンが好きで、迷うことなく『カラーミーショップ』を選びました。その当時の決断は、最良の決断だったと、今日、改めて確信しました。GMOペパボの皆さんには友人のようにいつも温かく、この10年、かわしま屋の成長を支えていただきました。このような温かいサポートや素敵な関係性が『カラーミーショップ』の大きな魅力だと考えています。この賞に恥じぬようこれからも成長していきたいと思います」と受賞の喜びを語った。

▲GMOペパボの佐藤健太郎社長(中央左)と大賞を受賞したかわしま屋の河島酉里代表(中央右)

「かわしま屋」は2017年の「カラーミーショップ大賞」で優秀賞を初めて受賞し、今回を満を持しての「大賞」受賞に至った。

GMOペパボの星隼人取締役副社長は、「『かわしま屋』さんは、モールなどではない独自のネットショップにおいては、ある意味の完成形なんだと思っています。一つ一つの商品を『ここまで掘り下げるのか』というくらい掘り下げて説明されています。当然、ユーザーレビューでしたり、専門家からの第三者的な意見を取り入れており、これはSEO的にも効果があると言われています。そういうすべきことを着実に取り組んでいる素晴らしいショップだと思います」と高く評価した。

▲コンテンツ力が高く評価された「かわしま屋」

GMOペパボのEC事業部 寺井秀明部長は、「コンテンツ配信を持続されているのが素晴らしいです。短期間で効果を得ようとしてだけ一時的にコンテンツを発信するのではなく、組織としてチームを組んでコンテンツを継続的に発信されてきたことが、今回の受賞につながったと思います。ウェブサイト上でのテキストでの発信以外にも、YouTube上で動画を配信したり、それ以外のSNSも活用していたりと、さまざまなチャネルを通して自社のブランドや取扱商品を発信しているのが、素晴らしい成果が出ていると思います」と評している。

<【総評】「受賞店は共通してコンテンツ力が素晴らしい」>

星副社長は総評として、「優秀賞に選ばれたショップは、過去の受賞歴があるショップが多かったです。優秀賞ではない賞を受賞されたショップは今回が初受賞のショップが多かったです。受賞されるショップは共通してコンテンツ力が素晴らしい。コンテンツというと商品紹介ページ、ブログ、SNS、動画など、さまざまなプラットフォームに渡って情報を発信していかなくてはいけないということで、苦労しているショップも多いと思います。素晴らしいショップは地道なコンテンツ作りをコツコツとやっています」とを述べた。

▲GMOペパボ 星隼人取締役副社長

「カラーミーショップ」はコンテンツ制作のコストを下げるために、今年10月からCMS「WordPress」との連携オプション(月額5500円)を無料で提供するという。利用ショップのコンテンツ制作の支援体制を拡充することで、さらなる発信力強化や売り上げ拡大に貢献したい考えだ。

寺井部長は受賞店舗の傾向として、「コロナ禍を経てEC事業により注力した事業者が、この数年で事業の柱としてECを確立しました。その成長が顕著に表れた事業者が多く受賞していました。さらに、全受賞店舗が何らかコンテンツ発信を自社のECサイトで行われていたり、SNSなどの外部のコンテンツを発信できるプラットフォームを利用していたりするケースが多かったと思います。大賞の『かわしま屋』さんは、その顕著な例だと感じています」と分析する。

▲GMOペパボ EC事業部 寺井秀明部長

「カラーミーショップ」は今年1月から大規模ショップ向けの新プラン「プレミアムプラン」を提供している。低いカード料率に加え、手厚いサポートや専用の機能を提供しており、有力ショップの利用が進んでいるという。今回の「カラーミーショップ大賞」においても、大賞の「かわしま屋」に加えて、「優秀賞」の「KEY MEMORY Online Shop」なども「プレミアムプラン」を利用している。今後も「プレミアムプラン」を利用することで、高い成長を実現し、「カラーミーショップ大賞」を受賞するショップは増えていきそうだ。

<「かわしま屋」河島代表に聞く受賞の理由>

「大賞」を受賞した「かわしま屋」を運営するかわしま屋の河島酉里代表に受賞要因や成長への取り組みを聞いた。2023年3月期の売上高は前期比20%成長しており、愚直にコンテンツを積み上げてきた取り組みが、成果につながっているという。

▲かわしま屋 河島酉里代表

――最近注力している取り組みは?

当社はもともと、1人で小売りからスタートしましたが、商品の差別化をするために製造の機能に力を入れてきました。製造拠点を作ったり、製造するための社内の仕組みを作ることに、ここ数年は力を入れており、その取り組みが商品の差別化につながってきたと思います。

――事業運営の体制は?

アルバイトも含めて37人で運営しています。自社で製造や配送もしており、製造や配送などに携わるメンバーが半数くらいを占めています。ブログやSNSを更新するコンテンツチームは兼務も含めて10人くらいいます。

――直近の売り上げ成長は?

2023年3月期は前期比20%くらい伸びています。これまでも毎年10~20%売り上げを伸ばしてきました。他に類のない商品を作り、お客さまに届けていくことで、2024年3月期も同じくらいの成長を実現したいと思ってがんばっています。

――どんな取り組みが成果につながっている?

一つがずば抜けて成果が出たということはないと思います。記事を書いたり、動画を作ったり、SNSを使ったり、LINEを使ったりと、目新しいことではありませんが、一つ一つしっかり時間を取って取り組んでいることが、バランスよく伸びています。サイト内の記事をきっかけにサイトに訪れていただく方が一番多いと思います。

▲YouTubeでさまざまな動画コンテンツを配信

――コンテンツを作る際のこたわりは?

さほどすごいことをやっているわけではないと思います。ただ、昔からブログは続けています。資金がなかったのでコンテンツを作るしかなかったとも言えます(笑)。生産者に会いに行ってお話を聞くと、人生をかけてモノ作りをしているので、一言一言がすごく深かったり、重かったりするので、それをしっかり伝えられるように気を付けています。

▲ECサイト内で記事コンテンツをコツコツと配信している

――どのくらい取扱商品がありますか?

だいたい600~700品目ぐらいあります。流通のしやすさや、ビジネスのしやすさというよりも、食べる人のことを考えて原料や製法にこだわっている製品を取り扱うようにしています。

――売れ筋の商品は?

シーズンによって売れ筋は変わります。商品も何か一つが突出して売れているものはなく、夏はお酢や油、梅干しなどの食品が底堅く売れています。

――顧客から支持されている要因は?

われわれが良いと思うもので、市場に類を見ない商品を提供できたらと思っています。商品のいくつかが評価いただくことがあります。お客さまからのレビューは全部目を通していますが、商品への良い評価が多いと感じています。

――創業のきっかけは?

ITベンチャーを辞めることになり、起業することにしました。ITベンチャーの前にテレビのCMを作る仕事をしていたことがあります。そのときに大手醤油メーカーのCMを作る機会があり、マーケティング調査をすると、大手数社の醬油メーカーが大半のシェアを握っており、全国に数千ある小さな醤油蔵が毎年2桁の勢いで廃業していることが分かりました。老舗の醤油蔵の製品を試すとすごくおいしいものを造っているのですが、だいたい老夫婦2人で切り盛りしていて、「私たちが引退したらこの蔵は閉める」と言っているところがたくさんありました。

売り方をしっかりやれば、もう少しビジネスがうまくいくのではないかという思いがありました。ITベンチャーを辞めるタイミングで、その思いを振り返り、「では、やってみよう」と思いました。資金がない中で、カラーミーショップを契約し、自宅の冷蔵庫を倉庫にして、醤油や味噌など6種類くらいから販売を始めました。

▲創業時の苦労を語る河島代表

――取扱商品を増やすために生産者やメーカーを開拓するために苦労したことは?

生産者さんや農家さんは横のつながりが強い面があり、良い関係性が作れたら、紹介していただけることがあります。自分からアプローチすることもありますが、温かく受け入れていただくこともあれば、冷たくあしらわれることもありました。

――越境ECの取り組みは?

2018年から越境ECに取り組んでいます。英語版のサイトを作り、世界中から注文を受けられる状態にはしています。ただ、まだ試行錯誤中ではあります。

――今後、越境ECは強化する?

一番需要が多いのは米国です。米国市場の醤油やだしなどの売れ筋のラインアップを見ると、韓国メーカーや中国メーカーが造る日本風の商品が多いようです。現地の日本人から、そういった商品の品質はイマイチだと聞きます。当社がやれることはまだまだあると思っています。

――今後の展望は?

素敵な生産者が人生をかけて作っていただいた食材や原料を扱わさせていただいています。ただ、「かわしま屋」は日本人の99.9%くらいの方が知らないと思いますので、まだまだ商品を届けられる伸びしろや役目はあると思っています。

今のところモールなどに販路を広げる考えはなく、自社ECサイトでまだできることがあると考えています。ポップアップなどリアル展開も将来的にはやりたい思いはありますが、そこに関しては全くの素人なので、できることから少しずつ取り組みたいと思います。

<受賞31ショップを一挙紹介> 「優秀賞(10ショップ)」、「地域賞(7ショップ)」、「ジャンル賞(食品・ファッション・雑貨の3ジャンルの3ショップ)」「特別賞(8カテゴリの8ショップ)」、「にっぽん文化奨励賞(2ショップ)」、「Amazon Pay賞(1ショップ)」の全31ショップを一覧で紹介する。

【優秀賞】

デザイン・PR・売上成長率」の3つの審査基準をバランスよく満たしている上位10ショップを選出

・安芸の島の実[主な取扱商品:オリーブオイル〕

https://www.hiroshima-olive.jp/

・UZUiRO[主な取扱商品:レディースファッション〕

https://uzu-japan.com/

・かわしま屋[主な取扱商品:オーガニック食品〕

https://kawashima-ya.jp/

・KEY MEMORY Online Shop[主な取扱商品:ユニセックスファッション〕

https://keymemory.co.jp/

・ケアソク(CARE:SOKU)[主な取扱商品:靴下〕

https://shop.caresoku.com/

・暦生活のお店[主な取扱商品:文房具、書籍〕

https://543life.net

・サイフク公式オンラインショップ mino・226[主な取扱商品:ニットポンチョ〕

https://shop.saifuku-knit.jp/

・自然派きくち村[主な取扱商品:野菜・米〕

https://kikuchimura.jp/

・石木花オンラインストア[主な取扱商品:盆栽〕

https://shop.sekibokka.jp/

・紡ぎ舎[主な取扱商品:日用雑貨〕

https://tsumugiya.jp/

【地域賞】

国内7つのエリア(北海道・東北、関東、東京、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)を代表するショップを選出。

・<北海道・東北>ヨーグルト専門店モーニング〔主な取扱商品:ヨーグルト〕

https://mng-shop.com/

・<関東>ニューテックジャパン〔主な取扱商品:レジャー・アウトドア用品〕

https://newtecjapan.co.jp/

・<東京>ソピバ北欧〔主な取扱商品:北欧雑貨〕

https://sopiva-hokuou.com/

・<中部>ヤマとカワ珈琲店〔主な取扱商品:コーヒー〕

https://yamatokawa.shop-pro.jp/

・<中国・四国>you-ichi Online Shop〔主な取扱商品:ジャム、焼き菓子〕

https://you-ichi.jp/

・<近畿>オルティッド 暮らしの道具〔主な取扱商品:作家もののうつわ〕

https://alltid.jp/

・<九州・沖縄>ハナモミジ〔主な取扱商品:園芸用品〕

https://www.hana-momiji.net/

【ジャンル賞】

食品・ファッション・雑貨のいずれかを主要商材とし、審査基準をバランスよく満たしているショップを3ショップ選出。

・<食品>BambooCut Market〔主な取扱商品:梅製品〕

https://bamboo-cut.shop-pro.jp/

・<ファッション>STUDS WEB STORE〔主な取扱商品:作業服〕

https://studs-luxury-ww.com/

・<雑貨>家具と服と暮らしの店 cocochi〔主な取扱商品:インテリア雑貨〕

https://cocochi-hirooka.jp/

【特別賞】

商品賞、セレクト賞、デザイン賞、コンテンツ賞、コミュニケーション賞、SDGs賞、DX賞、新人賞の8賞からそれぞれ1ショップを選出。

・<商品賞>JZYSS SHOP〔主な取扱商品:枕〕

https://www.jzyss-shop.com/

・<セレクト賞>OLD-FASHIONED STORE〔主な取扱商品:ハンカチなど〕

https://old-fashioned.jp/

・<デザイン賞>長谷川栄雅〔主な取扱商品:日本酒〕

https://hasegawaeiga.com/

・<コンテンツ賞>家事問屋〔主な取扱商品:キッチン雑貨〕

https://kajidonya.com/

・<コミュニケーション賞>Bow Wow Store〔主な取扱商品:ペットイラストグッズ〕

https://bowwowstore.shop/

・<SDGs賞>ビチェリン・アジアパシフィックアンドミドルイースト〔主な取扱商品:洋菓子〕

https://shop.bicerin.co.jp/

・<DX賞>さくら酒店〔主な取扱商品:日本酒〕

https://shop.sakurasaketen.com/

・<新人賞>久留米 立花うどん〔主な取扱商品:うどん〕

https://tachibanaudon.shop/

【にっぽん文化奨励賞】

ネットショップを通して、日本文化を発信している2ショップを選出。

・服部製糖所〔主な取扱商品:菓子〕

https://shop.awawasanbon.com/

<審査コメント>文筆家 甲斐みのり氏

 地元・徳島産の竹糖から製造した伝統的かつ体に優しい天然素材の和三盆を贅沢に使い、見目麗しく、食べてしみじみおいしい、100点満点の美しいお菓子。歓声が沸き起こるほど場が華やぎ、幸せな気持ちに満たされます。和三盆のおいしさを後世に残すため、三人兄弟が力を合わせて菓子作りに励む姿勢にも胸を打たれました。

▲文筆家 甲斐みのり氏

・ハリコオンライン〔主な取扱商品:張り子〕

https://shop.acty-daimonya.com/

<審査コメント>文筆家 甲斐みのり氏

張り子の技術はもちろん、招き猫という縁起ものとしてのストーリー性や愛らしいデザイン、5体が重なりコンパクトにまとまる作りが目を引きました。環境に優しい再生紙や自然素材の和紙を使用し、紙という素材ならではの軽やかさも楽しく、日本から世界に向けて発信できる新しい郷土玩具としての輝きを感じました。

【Amazon Pay賞】

「Amazon Pay」の決済を導入して、より多くのお客様に簡単・便利な購入体験の提供を実現した1ショップを選出。

・GOKUMIN〔主な取扱商品:寝具〕

https://gokumin.co.jp/

<審査コメント>アマゾンジャパン Amazon Pay事業部 カントリーマネージャー 井野川拓也氏

ID決済サービス「Amazon Pay」の導入後、多くのお客様が「Amazon Pay」を利用して購入され、全体の売上が飛躍的に成長しています。独自性・機能性の高いマットレスや枕などを手広く開発し、リーズナブルな価格で提供する日本の寝具ブランドとして、ソーシャルを活用したプロモーション手法などにより着実に知名度を上げられています。今後のさらなる成長にも期待して今回の受賞決定に至りました。

▲アマゾンジャパン Amazon Pay事業部 カントリーマネージャー 井野川拓也氏