TISインテックグループのTISは9月8日、ベトナムのカフェでWeb3技術を使ったNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)クーポンの実証実験を7月19日~31日に実施したとして、その結果を公表した。

同社は4月に、Web3関連ビジネスを推進する専門組織である「Web3ビジネス企画部」を立ち上げていた。この組織はWeb3を活用してさまざまな分野でのブロックチェーンを活用した事業に携わってきたという。

今回の実証実験においてはTISが全体の企画運営を行い、スタートアップ企業であるSUSHI TOP MARKETINGの「NFT One Shot」を使用し、TinhVan Technologies JSC.のサポートを得ながら、ベトナム(ハノイ)にあるBiblioCafeにてNFTを活用したクーポン施策を実施した。なお、共同での事業企画議論開始からカフェでの実証実験まで約2カ月で実施したそうだ。

  • 実証実験の体制

    実証実験の体制

今回3社が取り組んだ実験では、BiblioCafeの公式Facebookと店頭で計6種類のNFTを配布したという。公式Facebookから先着500人へ1種類のNFTを配布し、そのNFTを取得した人が実際にカフェに来店するとドリンクが無料で提供された。カフェでドリンクを購入すると、購入したドリンクに応じてNFTを受け取るためのカードが入手できるという流れ。

さらに、そのカードでスタンプラリーの専用ページにアクセスしてNFTを集めると、次回利用時にさらにドリンクを無料で受け取れる仕組みだ。購入客に配布するカードにはNFT One Shotの仕組みを活用しており、1回しかNFTを発行できない仕様となっている。

  • 実証実験の概要図
  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図

実証実験の結果、施策を実施した7月においてカフェ全体の売上は前年同月比で6%増となった。また、販売数量・平均単価でも閑散月と通常月との差異が10%改善していたとのことだ。

新規来店顧客と販売数量の増加だけでなく、特定のドリンク購入時にもらえるNFTを複数集めると特典が付与される施策も同時に実施しており、このNFT付き特定ドリンクの平均単価はコーヒー+1.4%、ヨーグルトドリンク+2.7%となった。これは店舗全体の平均を上回る単価アップである。

TISはこうした結果について、この特定ドリンクは4人に1人がNFTを受け取っていたことを踏まえて、NFTという新しい技術で顧客の心をくすぐり、「この店舗に来れば何か面白いことに出会えるかも知れない」といった期待感を消費者へ与えたものだと分析している。

  • 実証実験の結果
  • 実証実験の結果

    実証実験の結果