富士フイルムとIBM Corporationは8月30日、50TB(非圧縮時)のテープ・ストレージ・システムを開発したことを発表した。

  • 富士フイルム×IBM ロゴ

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同システムは、50TB(非圧縮時)、最大150TB(圧縮時)を実現したテープ・ストレージ・システム。「微粒子ハイブリッド磁性体」を採用した富士フイルム開発の磁気テープ「IBM 3592 JFテープ・カートリッジ」と、IBMの最新世代の「TS1170ドライブ」を組み合わせたもので、エンタープライズ向けにIBMより発売された。

磁気テープの高容量化には、単位面積あたりに記録できるデータ容量の密度を示す面記録密度の向上とデータを記録できる面積を示す記録面積の向上が重要だが、富士フイルムはこれまでの磁気テープの開発で培った独自技術を進化させることで面記録密度と記録面積を向上させ、記録容量50TBの磁気テープの実用化に成功しました。同社によると記録容量50TBは世界最大とのことだ。

面記録密度を向上させた要因として、次世代の磁性体とされる「ストロンチウムフェライト磁性体」と、高容量の磁気テープに用いられる「バリウムフェライト磁性体」それぞれに活用されているナノ粒子設計技術を組み合わせた「微粒子ハイブリッド磁性体」を新たに開発し、磁性体をさらに微粒子化し、磁気特性を高めたこと。

また、高分散技術を活用して超微粒子の磁性体ひとつひとつの凝集を防止し、安定的に磁性体を分散させたことや、 磁性層を均一かつ平滑に塗布して高い信号ノイズ比を実現したことを挙げている。

さらに、磁気テープの支持体に、現行品より厚みが薄く強度が高いベースフィルムを採用し、データ・カートリッジ1巻あたりのテープの長さを現行品と比べて約15%伸長し、記録面積を向上させたということだ。

富士フイルム 産業機材事業部 次長の永田敬一氏は、次のようにコメントしている。
「今回、現行品と比べ2.5倍となる記録容量50TBのテープ・ストレージ・システムをIBMとともに開発・実用化することができました。今回の成果は、IBMとともに進めてきた共同研究開発における新たなマイルストーンであると同時に、他のストレージ・メディアに対する磁気テープの優位性と将来性を示すものであると確信しています」

IBM ストレージ・システム開発担当副社長 Alistair Symon氏は、次のようにコメントしている。
「IBM 3592 JFテープ・カートリッジの先進技術は、パフォーマンスとデータへのアクセス性を維持しながら、ストレージ・コストの最適化に繋がる高密度なストレージを実現します。本テープ・カートリッジは、50TBの記録が可能な初のテープ・ストレージ・メディアで、科学データや産業データ、クラウド上のデータを安全に長期間保管する用途や(保管とデータ活用を両立する)アクティブ・アーカイブ用途に最適な選択肢です」