5月にIBMが開催した年次イベント「Think」で発表され、7月に一般提供を開始したAIとデータプラットフォームの「IBM watsonx」。同プラットフォームが狙っている領域はズバリ、“最先端のAI活用の拡大・加速を可能にする”ということだ。今回、同社が考える将来的なAIやデータの活用、watsonxの狙いについて話を聞いた。

企業におけるAIの活用をスケールしていく

元々、同社が提供していたAIとしては、ご存知の方も多いかと思うが「IBM Watson」が有名だ。そもそも、watsonxを発表したIBMの狙いとしてはAIファーストの考え方が背景にある。

その点について、日本IBM テクノロジー事業本部 Data and AIエバンジェリストの田中孝氏は「従来はビジネスプロセスや業務アプリケーションなどに、後付けでAI機能を付け加えて改善、高度化を図る『+AI』という形でAI活用が一般的に行われてきました。そこをAI前提のビジネス『AI+』に変えていくことがAIファーストです。watsonxの『x』の由来は、これまで以上にお客さまのビジネスにおけるAIの活用をスケールしていくと意味合いが込められています」と説明した。

  • 日本IBM テクノロジー事業本部 Data and AIエバンジェリストの田中孝氏

    日本IBM テクノロジー事業本部 Data and AIエバンジェリストの田中孝氏

同社がAIファーストに至った理由として重要なものが“基盤モデル(ファウンデーション・モデル)”だ。考え方自体は機械学習アプローチの派生形の1つであり、基礎的な知識を備えたAIを大量の学習データから作成し、これを基盤にさまざまな用途にファインチューニングすることで業務で使うAIモデルを構築できるというもの。

  • AIは基盤モデルの時代が到来している

    AIは基盤モデルの時代が到来している

IBMでは、生成AIに対する信念として「Open」「Trusted(信頼できる)」「Empowering(力を与える)」「Targeted(明確な対象)」の4つを位置付けている。

従来の機械学習によるAI開発は、自動翻訳モデルや文書分類モデルなど、用途ごとにモデルを作成するほか、学習データはラベル付きのデータを集める必要があることから、時間とコストを要していた。

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