MM総研(MMRI)は8月21日、経理/会計関連システムの導入決定権者を対象に実施した「インボイス制度への対応実態調査」の結果を発表した。これによると、インボイス制度に対応完了している事業者は3割以下に留まっており、ソフトウエア導入や業務フロー変更に課題があるという。
同調査は同社が6月29日~7月3日にかけて、法人および個人事業主の経理/会計関連システム導入決定権者を対象にWebアンケートにより実施したものであり、有効回答者数は1931人、うち個人事業主が794人、法人が1137人。
インボイス制度への対応状況を見ると、適格請求書発行事業者の登録に加えてソフトウエアの導入や帳票フォーマットの変更などを実施し、「インボイス制度への対応は完了している」という回答者は、26.8%と3割以下に留まっている。現在「対応中」と答えた19.4%を合わせると46.2%となり、約170万事業者が期限までに対応を完了すると同社は推計する。
従業員規模別の対応状況では、企業規模が大きくなるほど対応が進んでいる傾向がある。
インボイス制度への対応を機に新規・追加・入替導入したソフトウエア・ベンダーのシェアを見たところ、弥生が37.8%で1位だった。以下、オービックビジネスコンサルタント(OBC、9.2%)、ミロク情報サービス(MJS、6.5%)が続く。
パッケージ版とクラウド版との比較では、パッケージ版を新規または利用継続するユーザー企業が5割以上を占める。
今後ソフトウエアを新規・追加・入替導入を予定している企業は 41.8%であり、インボイス制度に対応するソフトウエアの導入は続くと同社は見ている。
インボイス制度開始後の免税事業者との取引方針では、49.9%が「登録事業者になってもらう」と回答しており、免税事業者にもインボイス制度への対応を求める傾向が見られる。 「今までと変わらず消費税分を負担する」と回答した事業者は2割に留まり、これまでと同様の取引方法を続けたい免税事業者には厳しい結果だと同社は指摘する。
「消費税分の取引価格の減額」を求める事業者が17.6%に上る他、「取引を一部または完全にやめる」との回答も7.0%あった。
インボイス制度対応への課題を尋ねたところ、個人事業主の31.7%が「どのような準備が必要かわからない」と回答した。また、個人事業主、小規模企業、中小企業、大企業のいずれも、「業務フローの変更による負担増」を課題と見る回答が上位5位以内に入っている。
調査結果を受けて同社は、各省庁やソフトウエア・ベンダーにはこうした不安要素を軽減できるような、よりわかりやすい最新情報の提供、公的支援制度の活用訴求、ソフトウエアの機能追加などが求められると指摘する。
また、2024年1月には改正電子帳簿保存法が本格施行されため、国が提示する行政手続のデジタル化を、個人事業主や企業がどのように受け止め対応していくのか、引き続き注視したいとしている。