「楽天市場 2023年下期戦略共有会」、来春のクーポン有料化を発表 「急がない便」提供も検討

楽天グループは8月2日、大型イベント「Rakuten Optimism 2023」において「楽天市場 2023年 下期戦略共有会」を開催した。「楽天市場」の上期の実績を振り返るとともに、クーポンサービスの無料キャンペーンの終了や遅いお届け日の指定でポイントを付与する「急がない便(仮称)」の計画などを発表した。

常務執行役員 コマース&マーケティングカンパニーシニアヴァイスプレジデント 松村亮氏が戦略共有会で説明した「売り場の進化+物流の進化」の内容をダイジェストで紹介する。

▲常務執行役員 コマース&マーケティングカンパニーシニアヴァイスプレジデント 松村亮氏

マーケティング施策については、確かな成果を上げている。「楽天スーパーSALE」「お買い物マラソン」など大型セール企画の年間流通総額の4年平均成長率は23.8%増だという。

季節のイベントも高い成果を上げており、2023年の「母の日特集」の流通総額は前年比14.0%増となった。

▲「母の日特集」

eスポーツイベント「Rakuten esports cup」を開催したことで、2022年のゲーミング関連商品の流通総額は前年比約20%増となり、毎月19、20日を「育児の日」と設定したことで2023年3月のおむつジャンルの流通総額は前年同月比約200%増になったという。

「ROOM」経由の20代以下の購入者数は2021年から2023年にかけて3.3倍になった。「ROOMコラボレーション商品」による20代以下の割合は、通常商品と比べて20ポイント高い59%になっている。

▲「ROOM」

ライブコマース「楽天ショッピングチャンネル」は今年6月に「Picture in Picture機能」を提供し、視聴しながら買い物できるようにした。今年7月からファッションや美容・コスメなど商品ジャンルに特化した企画を実施しており、今後さらにジャンルを拡大する計画だ。

▲「楽天ショッピングチャンネル」

<クーポンの無料キャンペーン終了>

クーポンサービス「RaCoupon(ラ・クーポン)」のサービス強化と、システム利用料の無料キャンペーン終了についても説明した。

「クーポンはポイントと並んで強力なマーケティングツールとなっている。クーポンの機能をもっと進化させようと開発のリソースを大きく割いている。店舗さん向けにはユーザーのセグメント機能を拡充したり、マーケティング機能を強化したりする。ユーザーさん向けにはUI/UXを進化させる。そうした背景もあり、クーポンの利用にあたっては長らく無料キャンペーンを適用させていただいていたが、来年3月末を持って終了したいと思っている。詳細は8月末ごろのサポートニュースで配信する予定だ」(松村氏)と説明した。

▲「RaCoupon」

クーポン利用による受注件数は10年間で約20倍に拡大した。特にコロナ禍で大きく伸びたという。利用量拡大によるシステム負荷に加えて、さらなる機能強化におけるリソース拡充のために、無料キャンペーンを終了するという。

今年7月には、クーポンキュレーションメディア「人気のクーポン獲り放題!わくわくクーポンランド」の本格提供を開始した。

▲「人気のクーポン獲り放題!わくわくクーポンランド」

2024年には、属性や購入履歴に応じてクーポンを発行できるように「ユーザーセグメント機能」を強化したり、上限設定商品数を5000商品に拡大したりする計画だ。クーポン発行後の表示範囲を変更できるようにし、運営面の機能も拡充する。

無料キャンペーン終了後のクーポンサービスの料金体系は未定だが、店舗の負担を考慮し、もともと設定していた料金体系からは見直す予定だという。

<「SKU対応」50%以上が移行済み>

今春から提供している「SKU対応」については、すでに50%以上の店舗が移行を完了している。9月末までに90%以上の店舗さんが移行を完了することを目指している。

「SKU対応」の機能を活用し、価格違いの商品ページはすでに1万ページ以上提供されているという。

<「急がない便」提供を検討>

「物流の進化」についても実績や最新の取り組み、今後の展望を説明した。2024年問題など物流の課題に対応した機能もリリースしている。

2023年6月には、最短お届け可能日の表示を開始している。8月3日には、ユーザー自身がお届けの日付を選ぶ仕様に変更した。

遅いお届け日を指定した顧客にポイントを付与する「急がない便(仮称)」を2024年以降に提供する計画もある。現在はまだ検討段階だというが、提供に向けてテストや店舗へのヒアリングを進める見通しだ。

「配送品質向上制度」は2024年6月に開始する予定だ。店舗の声を聞き、認定基準については精査を続けている。現在の認定基準は以下の通り。

【店舗基準】

・納期遵守率が96%以上

・6日内のお届け件数比率が80%以上

・出荷件数が月100件以上

・共通の送料込みラインの導入

【商品基準】

・いつでも出荷可能

・午前の注文は翌日、午後の注文は翌々日に配達可能

・日付け指定可能

店舗基準と商品基準を満たす商品に「配送認定ラベル」を付与する。

戦略共有会では、他にもAI・データ活用の可能性や店舗サポートのさらなる強化についても紹介した。