freeeは7月26日、会計士や税理士などを中心とした士業向けのイベント「freee Advisor Day」を開催した。今回で3回目の開催となる同イベントは、freee認定アドバイザー(士業)も実行委員会に入り、全国3カ所の大阪、福岡、東京のオフライン会場で開催した。
同イベントでは、freeeが提供する各プロダクトを体験エリアを各会場に設置。そのほか、APIパートナーやデジタル化機器、リアルタイムにfreee会計と連携できるサービスとして、AirレジやAmazonビジネスなども体験できた。さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正など会計業界を取り巻く変化に関する情報も展示しており、数多くの来場者が訪れていた。
また、freee 代表取締役 CEOの佐々木大輔氏がメインステージで行われた基調講演に登壇。「freeeの中長期戦略と会計事務所とのパートナーシップ」と題し、freeeの地域ごとの取り組みや今後の戦略を、会計事務所とのパートナーシップを織り交ぜながら説明した。
freeeはスモールビジネス向けに統合型クラウドERPを提供している。国内のクラウド会計ソフト市場で1位のシェアを持つ「freee会計」をはじめ、クラウド人事労務ソフトの「freee人事労務」や、その他サービスを含め13のプロダクトを同社のブランドで提供している。
有料課金の企業数は2023年3月末時点で約46万事業者。佐々木氏は、「2025年には70万事業者まで伸ばしたい。そのためには会計事務所とのパートナーシップが必要不可欠だ」と説明した。
同社は中長期の戦略として「統合型経営プラットフォームのさらなる進化」に加えて、「ユーザーネットワーク構築のためのシェア拡大」を掲げている。後者の戦略を強化させるために、会計事務所などの士業とのパートナーシップを強化する。
佐々木氏は「会社を設立した後、最初に相談するのは士業だ。中小企業の大半は税理士と関与を持ち、税理士は会社の財布を把握する希少な立ち位置にいる。会計事務所の介在が中小企業を変える」と、その重要性を語った。
そのパートナーシップの一環として、同社は「freee認定アドバイザー制度」を設けている。同制度は、税理士事務所や会計事務所、社労士事務所などに対し、5段階の評価でfreee会計の習熟度を評価するもの。1~5までの星で評価が行われ、星の数が多ければ多いほどfreeeの習熟度が高いとされる。アドバイザーは、freeeの運用スキルを対外的に証明することができる。現在、7900の会計事務所が同制度に登録しているという。
アドバイザー制度の活用に加え、同社は会計業界が抱える課題にもメスを入れる。「クラウドに対応していない会計事務所は多い。また、見慣れたメニューがなく、入力・修正の仕方が分かりづらい当社のソフトは『ぐちゃぐちゃfreee』と呼ばれることもある。独自画面の使い勝手を改善していかなければならない」(佐々木氏)
そこで同社は、独自画面の課題解消に加え、10月1日より開始するインボイス制度への対応に向けて開発を強化している。例えば、従来型の会計ソフトとほぼ同じ使い勝手の仕分入力画面を開発。また、「ファイルボックス」も検索条件の保存に対応し、フォルダ的な使い方ができるようにアップデートする。
佐々木氏は、「事業者だけでなく会計事務所にとっても統合型経営プラットフォームでありたい。このプラットフォームで会計事務所のスタッフが安心して長く働ける持続可能な事務所にしていく」と、述べていた。