2023年7月12日から14日まで東京ビッグサイトにて開催されていた、医療や福祉分野に向けた機器やシステムなどの展示会「国際モダンホスピタルショウ2023(IMHS2023)」で富士フイルムは、在宅医療のニーズに応える軽量ポータブルX線装置や自社のカメラ技術を応用した医療画像診断機器などの展示を行っていた。
在宅医療にも使用できる軽量ポータブルX線装置「CALNEO Xair」
中でも注目を集めたのは、軽量ポータブルX線装置「CALNEO Xair」だ。
これは装置本体重量約3.5kという軽量で小型な携帯型のX線撮影装置。持ち運びが簡単にできるため在宅医療などにおいて手軽なX線検査を行うことができる。
また、保持装置もスムーズに組み立てることができるほか、本体側面のハンドスイッチでの撮影が可能だという。
さらに保持装置に関しては、X線発生器を組み付けることでX線撮影用受像器の位置や撮影対象物の位置に対して、X線管の位置を調整・固定することができ、また、電源のない場所でも撮影が可能で在宅医療の際などの電源が無い環境でもバッテリー駆動により撮影ができるとした。他にも、ACアダプター接続により充電しながらの撮影も可能だ。
新型コロナウイルス感染症や誤嚥性肺炎などを発症し動くことが困難な患者に対して、診断のために病院へ搬送するのは非常に大変だという。「CALNEO Xair」を使用すれば、在宅先で診察を受けることができるため、患者本人はもちろん、患者を看病している家族や診察する医師、スタッフの負担も軽減できるだろう。
リアルタイムで病変を検出・鑑別する「内視鏡画像診断支援システム」
CALNEO Xair以外にも注目を集めていたのが、内視鏡画像にて病変のリアルタイム検出・鑑別を支援する「内視鏡画像診断支援システム」だ。
このシステムは、内視鏡診断支援機能「CAD EYE」を搭載したプログラムなどをインストールすることでさまざまな内視鏡システムの機能を使うことができる。
X線の画像など静止画に対してAIをかけ病変を診断支援してくれる仕組みは世の中に多く存在するが、内視鏡は動画の中でリアルタイムに診断しなければならないため技術が必要となる。また、内視鏡産業に参入している企業はほとんどが日本の企業であり、そうした企業のいずれもがカメラ産業において高い技術力を持っている企業であるほど、難しい分野なのだとブース担当者は語っていた。
その中で富士フイルムは、同社が保持しているカメラ技術から派生した画像処理技術や精密機器の技術を応用することでこのシステムを開発することができたという。
同社のそうした高い技術によって、画面には鮮明な画像を映し出すことができ、CAD EYEがリアルタイムで病変の検出・鑑別を支援してくれるほか、静止画記録や動画記録などあらゆる機能が使えるとし、医師の負担軽減や診断精度向上をサポートしてくれる機器として今後も活躍するだろうとしている。