大阪公立大学(大阪公大)は7月31日、環境条件と活動内容、身体情報をもとに深部体温を予測し、熱中症を未然に防ぐためのスマートフォン用アプリケーション「Heat-Health」を開発したことを発表した。
同研究成果は、スロベニア ヨージェフ・ステファン研究所のLeonidas G. Ioannou研究員、同・Igor B. Mekjavic教授、大阪公大大学院 現代システム科学研究科の飛田国人准教授らの研究チームによるもの。詳細は、7月25日に国際学術誌「Applied Sciences」に掲載された。
熱中症予防には十分な水分補給や適切な休息が必要であり、このような予防策はメディアや気象庁が発表する熱中症警戒アラートを通して啓発されている。しかし、環境条件や活動内容が異なれば、水分補給や休息などの必要な量は異なるため、個々人が自身の熱中症リスクを正確に把握することは困難であるのが現状の課題だ。
そこで研究チームは、気温などの環境条件データに、個人の活動内容や身体情報を照らし合わせることで、深部体温を予測するスマホ用アプリの開発に着手。Heat-Healthとして今般発表に至ったとする。
今回の研究においては、37名を対象にさまざまな活動中の深部体温を計測し、Heat-Healthによる予測データと比較することで、その予測精度の検証も行われた。
その結果、WHO(世界保健機関)が定める指針で暑熱ストレスが高いとされる、深部体温が38℃以上となった対象者では92.9%、深部体温が38℃未満の対象者の場合では90.0%の精度で予測することに成功したとする。
これを受け研究チームは、Heat-Healthの活用によってパーソナライズされた熱中症リスクを正確に把握し、適切な予防策を取ることが可能になることで、熱中症の予防に貢献することが期待されるとしている。
今回の発表に際し、大阪公大の飛田教授は「Heat-Healthは熱中症リスクを低減するための水分補給量や休息時間の提案機能も備えているので、今後は同アプリが示す低減策の有効性を示したいと考えている」とのコメントを残している。