Metaが「Facebook」「Instagram」などで用いるアルゴリズムが与える影響について、「Nature」「Science」の両科学誌が4つの論文を掲載した。それによると、エンゲージには影響があるが、政治的な信条を変えるほどの影響はないという。
NatureとScienceが掲載した論文は、テキサス大学などが、2020年の米国大統領選挙期間中にFacebookを利用した2億800万人の米国ユーザーのデータを分析したもの。参加に同意したユーザーを対象とした調査で、フィードに表示するアルゴリズムが分析の中心となった。
例えば、Facebookで投稿を再共有する機能をオフにしたところ、信頼できない情報源からのニュースを目にする機会が減少し、フィードに流れる政治ニュースも減少したが、政治的信条に大きな変化はなかったという。
また、同じ信条をもつアカウントから得るコンテンツを減らしても、偏向性、誤報に影響されやすいかなどに大きな影響はなかったとのこと。
このようなことから、アルゴリズムはユーザーのエンゲージを維持するという点では優れていたが、アルゴリズムの一部の主要な機能を変更・削除してもユーザーの政治的信条に「測定できるような影響はない」という結論を出している。
Faebookのアルゴリズムが大統領選の結果に影響したという主張もあったが、裏付けることはできなかったようだ。
この調査のリーダーの1人で、テキサス大学オースティン校メディア・エンゲージメントセンターのディレクターを務めるTalia Jomini Stroud氏は「アルゴリズムがユーザーのプラットフォーム上の体験に大きな影響を及ぼしていること、政治ニュースとの接触においてイデオロギー面での分離があることがわかった。ソーシャルメディアのアルゴリズムを変更するという提案は、人々の政治的な態度を揺るがすものではない」とコメントしている。