Notion Labs Japanは7月11日、都内でメディア向けにラウンドテーブルを開催した。米国本社から米Notion labs COO(最高執行責任者)のAkshay Kothari(アクシェイ・コターリ)氏が来日し、プレゼンテーションを行った。
Notion AIの新機能発表を予定
はじめに、コターリ氏はNotionについて「自分好みに自由自在にカスタマイズできるコネクテッドワークスペース。チームや個人のノート、ドキュメント、Wiki、プロジェクト管理などを非常にシンプルにできる」と説明した。
念のため、Notionについておさらいしておくと、メモ、ドキュメント、プロジェクト管理、複数人で利用する際にページ管理を容易にするWikiをカスタマイズ可能な形で組み合わせたツールだ。
テキストや画像、テーブルをはじめとした各コンテンツをブロックと位置付け、一覧から必要に応じてブロックを選び、適宜追加して自由に移動させながらインタラクティブな形でドキュメントを作成できる。また、複数のドキュメントを簡単かつスピーディに集めて、ナレッジが詰まったWikiの作成を可能としている。
さらに、6月に発表したNotion プロジェクトはワークスペース内におけるAIが組み込まれたプロジェクトマネジメント機能となっており、各プロジェクトの一連の流れを表示できる。
ドキュメントをプロジェクトに移動すれば、そのほかのプロジェクト一覧も把握できるとともに、ドキュメントを1つのプロジェクトとして扱い、チーム全員が作業することも可能としている。
2月に発表したNotion AIは、Notionのワークスペース上で利用できるAIサービス。AIツールを別に立ち上げることなく、ワークスペース上でAIを活用でき、業務効率化や生産性向上を図ることが可能。現在、日本語も含めて14カ国語に対応している。
利用方法はワークスペース上でスペース、もしくはスラッシュコマンドを入力するか、編集したい文章を範囲選択することでアクセスできる。主な機能としては、情報の整理・要約作成や文章作成の効率化、新しいアイデアのヒントを得ることが可能。
コターリ氏は、Notion AIについて「日本でも幅広く活用されている。生産性を向上させ、チーム感でのコラボレーションを高め、コストを削減することができる。利用に際しては、Notion内における組織のワークスペースやデータなどはプライベートな形で外部には出ない。そして、利用者のパートナーとして必要に応じて協力してくれる」と述べた。
また、同氏は現状ではドキュメントでの利用に限るNotion AIが今後は新機能の追加を予定し、ナレッジベース(Wiki)、プロジェクト管理、データベースへの適用を検討していることを明かした。
一方、日本における事業について同氏は「4年前に銀座で開催されたコミュニティイベントの際に来日した。そのときは日本法人もなく、メンバーも誰1人いなかったが、現在では30人の従業員が働いており、日本は利用者、利用率、収益に関して、米国に次ぐ2番目の市場だ」と強調した。
日本のスタートアップから大企業まで活用されるNotion
続いて、Notion Labs Japan ゼネラルマネージャーの西勝清氏が日本の事業展開について説明に立った。西氏は日本のユーザーに関して「スタートアップから大企業まで幅広い企業で利用されている。スタートアップから中規模企業では全社導入、大企業ではDXや新規事業、イノベーション推進部門を中心とした導入が進んでいる」との見解を示す。
また、同氏は日本企業におけるNotionの採用拡大について「3年前に入社したときはスタートアップを中心に採用されていたが、時間の経過とともに利用企業の規模が大きくなってきている印象だ。特に日本語化された後は、それが顕著になっている」と説く。
西氏によると、企業や組織がNotionを導入する前は情報が散在しているため、資料の場所が分からず、探すことに時間を費やしており、非効率な資料作成を行うため会議自体が状況確認にとどまるため意思決定に時間を要するという。結果として、組織内でナレッジが蓄積されずにチーム内での情報格差が発生し、適切な意思決定を阻害しているとのことだ。
同氏は「企業が抱える課題に対して、Notionはワークスペース内に議事録や資料などが蓄積されていくため、透明性やコラボレーションが高まり、迅速な決定に加えてナレッジの蓄積が可能になる」と、Notionによる効果を強調した。
サントリーの事例
その一例として、サントリー食品インターナショナルの事例が紹介された。同社では企業の健康経営をサポートするアプリ「SUNTORY+(サントリープラス)」の開発チームにおいて、各メンバーがさまざまなツールを利用していたことから、情報が散在していたという。
そこで、Notionを導入したところアクセスさえすればSUNTORY+に関するプロジェクト情報、議事録など、すべての情報を簡単に見つけることができ、メンバー全員での共有が可能なった。
特に、議事録では共通のテンプレートを活用して会議内容を記録し、すべての議事録がNotion上に保存されているため他のチームの進捗を把握でき、知りたい情報があれば自ら取りにいける環境を構築した。
これにより、開発の質、スピードが向上し、蓄積された過去のドキュメントと最新のドキュメントがまとまったドキュメントとしてつながっており、アプリ開発に必要な情報を一元管理できることからベロシティが向上し、同時に記憶を掘り起こす必要がないため、考えることに集中できる環境が整備された。
また、プロジェクト中に情報格差が起こり、チームの足並みが揃わなくなる時があるが、Notionにすべての情報が保存されていることから、情報が平準化されてフラットな関係が築けたことがチームの結束を促したとのことだ。
さらには、Notionを共有している範囲は開発だけではなく、プロモーション担当やカスタマーサクセス担当を含めた全メンバーが、Notionを閲覧・記述することができるようにしているため、分断がなくなり、領域を超えた情報共有が可能になっているという。
今後の展望について西氏は「ユーザー企業が業務や仕事に馴染むツールをNotionで作成し、本来やるべきことをやってもらいたい。Notionを活用することで日本のビジネスの課題解決に貢献できると考えている。今後もさらに国内ビジネスを拡大していく」と意気込みを語っていた。