島津製作所は7月5日、高速で連続的に撮影した静止画を動画として提供する「連続撮影機能」を新たに搭載した「MobileDaRt Evolution MX8 Version kタイプ」を発売した。これにより、患者の肺の動きなどを本体搭載の大型モニタで確認することができ、より多くの情報で診断することを可能にするという。

  • 回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX8 Version kタイプ」

    (左)回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX8 Version kタイプ」の外観、(右)連続撮影した画像の例(出所:島津製作所)

回診用X線撮影装置は、必要な場所に装置を移動させてX線検査を行う画像診断装置で、同社の装置は重量が約440kgながら、電動アシスト機能で車輪を制御しており滑らかな移動を実現。安静が必要な術後の経過観察時や感染症の診断など、患者がX線検査室まで移動できない場合に多く用いられてきたほか、近年、回診用X線撮影装置による連続撮影が、コロナ禍や救命救急など患者の移動が制限される際、肺機能をベッドサイドで簡易に検査できる方法として注目を集めるなど、新たなニーズも生み出されるようになってきたという。

こうした背景を踏まえた新製品は、特長として1秒間に最大15枚の静止画を20秒間まで連続して撮影できる機能を搭載。これまでは静止画を約10秒間隔で撮影していたのに対し、連続撮影が可能となったことで、撮影した画像をアニメーションのように連続表示することができるようになり、例えば、呼吸による肺の形状変化や注入された造影剤の流れの状態確認などを容易に行えるようになったとする。さらに、救急患者を救命救急室から移動させずに、診断や処置に役立つ連続撮影データを迅速に提供することも可能になるとしている。

また、連続撮影した画像データは、コニカミノルタ製X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」に送信することで、患者の病態管理を支援する画像解析が可能であり、KINOSISを活用することで、撮影した画像の視認性向上や、画像処理による「動き」の定量化を通じた症状推定や機能評価に必要な情報提供が可能になるという。

加えて、伸縮式の支柱やコンパクトな装置本体を採用することで高い前方視認性と快適な走行性を実現。支柱回転やアーム伸縮の範囲が広く、広範囲の撮影領域のカバーも可能なことから、医療器具が多く並びスペースが限られた救命救急室でも簡単に撮影できるというポイントも特長だと同社では説明している。

なお同社では、MobileDaRt Evolution MX8 Version kタイプについて、米国で7月9日から12日にかけて「AHRA(American Healthcare Radiology Administrators:米国における医用画像管理のための協会)」の展示会に出展する予定だとしている。