グーグルは7月5日、東京都渋谷区の日本オフィスで「Google for Education 教育の未来白書」と題し、AIと教育の未来に関して記者説明会を開催した。同日に「未来の教育白書」として三部構成で「新しい未来に備える」、「指導と学びの方法を進化させる」、「学びのエコシステムを再考する」を発表している。
教育にAIを実装
まず、Google for Education APAC Marketing leadのStuart Miller(スチュワート・ミラー)氏が教育を変革するAIの可能性について説明した。同氏は「AIは数十億人の生活を改善する新たな可能性を秘めている。Googleは数年前にAIファーストの方向性を発表し、AIをすべての人々に役立つものにすることに注力している」と述べた。
Google for Educationでは2015年からAIにより教員を支援しており、アクセシビリティ、デジタルセキュリティ、生産性の向上、個に応じた指導(アダプティブラーニング)の4つの分野でAIの実装を進めてきた。
また、2018年にはGoogleが公表した7項目のAI利用における基本方針を教育に応用しており、ミラー氏は「Google for Educationの目標はAIを用いて教師を支援し、生徒の可能性を最大限に引き出す。そのため、AIではなく教員が教育体験を提供する中心だ」と話す。
「演習セット」の日本語版を7月後半に提供
今回、よりパーソナライズされた学びを提供するため、授業や学びを管理する「Google Classroom」で7月後半から日本語版が提供される「演習セット」を紹介した。
記者説明会に先立ち行われた講演でGoogle for Education Government and Academic Engagement LeadのChris Harte(クリス・ハート)氏は演習セットに関して「教員が生徒をよりよくサポートするための時間とツールを提供する。よりインタラクティブなレッスンから、より速く、より個人的な生徒のフィードバックまで実現できる。生徒一人ひとりはユニークであり、自分のペースで自分のやり方で学びます。学習者が学習にアクセスする方法、進歩するスピード、さらには受け取るフィードバックの種類において、より大きな主体性を身につけるのに役立つ」と説明した。
これは新規や既存の教材、授業内容から課題を作成できる適応型学習を支援するツールとなり、生徒が自分のペースで学習できるように支援し、教員は生徒の学習状況を把握し、取り組みに沿った指導を行うことができるというものだ。
教員側は課題の自動採点や生徒の学習状況の確認、成績の傾向を自動の分析情報で把握、生徒への迅速なフィードバック、生徒がいつでもリソースにアクセスが可能になるという。
一方、生徒側は課題のヒントを自動的に提供し、正解にたどりつくための関連動画を提示するなどのインタラクティブ性を持ち、リアルタイムのフィードバック、学習状況に応じた指導を提供し、生徒の潜在能力を引き出すことを可能としている。ミラー氏は「生徒のパーソナルな学びをサポートできるようにAIが支援する」と力を込めていた。
なお、演習セットはGoogle Workspace for Educationの有料エディション「Teaching and Learning Upgrade」「Google Workspace for Education Plus」を定期購入することで、利用できる。